番長決戦・第二幕：公園にて――乙女の力は誰のもの？

レイちゃんにデートに誘われたので、少尉がはせ参じます。 https://www.aipictors.com/posts/597885 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 春の陽射しが穏やかな午後、公園には色とりどりの花が咲き誇り、鳥のさえずりと子どもたちの笑い声が響いていた。 木陰のベンチに一人座るレイ＝篠宮＝エーデルシュタイン。 近隣の学園の生徒会長であり風紀委員長にして、かつて河原で番長を決める決闘を申し込んだ少女――今日はいつもと雰囲気が違っていた。 白いブラウスにレースのカーディガン、フリルのついたスカートと、こだわりにこだわり抜いた「乙女コーデ」。 手には紅茶の入った水筒と焼き菓子の詰め合わせ。場所も時間も完璧、まさに乙女力勝負の舞台は整っていた。 「ふふふ……今日は、あの少尉殿に、真の淑女とは何かを見せつけて差し上げますわ……！」 ところが。 「やっほー☆ レイちゃん！ いい天気だねー！ 先に始めてたよ～！」 地表近くから出所不明に明るい、能天気な声が響き渡る。 背中をそらしてブリッジしかけている少尉の姿に、レイちゃんの表情は完全に引きつっていた。 いつもの詰襟軍服ではなく、いつぞやの白体操着＆紺ブルマ。 しかもその格好と体勢で、天地逆さに、にこやかに笑って話しかけてくる 「え、な、ななななっ……⁉　なぜその服装と体勢で⁉」 ドン引き顔で後ずさるレイちゃんに。 「あれっ？ 『女子力で勝負』って言ってたよね？ 最近流行ってるんだよ、青空ヨガでデトックス体験！ 体も心も清楚に！ みたいなやつ！」 ぴょんと飛び起きてずずいと詰め寄ってくるブロント少尉。 「違いますわぁぁぁぁぁっ‼‼」 レイちゃんは立ち上がると、思わずスカートの裾を握りしめて叫んだ。 「私は、お紅茶と焼き菓子で優雅で公園（デート）で、ファッションと会話で勝負するつもりでしたのよぉぉぉっっ！！」 「えっ……でも乙女って、健康第一じゃないの？」 そう言って、ブロント少尉はくるんと回転し、ブルマ姿で開脚前屈を披露する。 「ほらほら、ハムストリングスが伸びて、気持ちいいよ～！」 「ハムストリングスとか知らないですわぁぁぁっっっ！！！」 バサァァン！ レイちゃんはその場に崩れ落ちた。スカートがふわりと舞い、紅茶の水筒がコロンと転がる。 「さあ～、続き行くよ～！！牛とネコのポーズ！！」 ブルマ姿で、再度地面に手足をついたブロント少尉に…… 「……完全なる不戦敗……ですわ……」 踵を返すれいちゃん 「えっ、あっ、ちょっと？レイちゃんどこに行くの？」 きょとんとして、牛だか猫だかの恥ずかしい格好のまま問いかける少尉に、 「しょっ……お！！い～！！」 応えるのは鬼の形相の富士見軍曹だけだった