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【太平洋】サメのおんがえし
ある海沿いの村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。二人はサーフ(砂浜からオモリを遠くに投げて釣りをする事。投げ釣り)が趣味でした。 今日の天気は、晴れ時々小雨という予報だったので、二人は連れ立って太平洋を望む砂浜に出かけました。 するとどうでしょう。体長30mはあろうかという大きな大きなサメが、砂浜に打ち上げられていたのです。 おじいさん「あれまあ、ばあさまや。こりゃあたまげたなあ。小雨どころか大サメも大サメでねえか」 おばあさん「なんだかしおれていて元気がないねえ。じいさま、あのサメを海に帰してあげましょう」 おじいさんとおばあさんは釣りの道具を浜に置くと、ふたりがかりでエンヤコラとサメを海に押し戻してあげました。 するとサメはたちまち元気になり、目も赤々と血走って、勢いよく泳ぎ始めます。 サメ「シャーック!ヨッシャーック!(喜びの感情)」 おじいさん「元気になったようだべ。えがったなぁ」 おばあさん「サメさんや、もう打ち上げられないように気を付けなさいね」 サメは二人に手を振るかのように、大きなヒレを海面に打ち付けて巨大な波をおじいさんとおばあさんに浴びせかけながら、太平洋へ泳ぎ去っていきました。 それからというもの、この浜で釣りをするといつでもたくさんの魚が釣れるようになりました。 また、二人で力を合わせてサメを帰した事にあやかって、この砂浜で共同作業(意味深)をした男女は、その仲が「さめない」と言われ、縁結びのご利益があるとも言われています。