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【ハイキング】もう一度絆を

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2025年05月02日 15時00分
使用モデル名:animagine-xl-3.0
対象年齢:全年齢
スタイル:イラスト
参加お題:

私は自然公園の山道を歩いていました。隣には、仏頂面の幽魅。 「ほ、ほら幽魅。木漏れ日が綺麗だよ」 「つーん」 さっきからこの調子で、何も話を聞いてくれない上に目も合わせてくれません。この間の事を謝っても、聞こえない素振りで無視してくるのです。何かきっかけを作らないと、この雰囲気のままだな。 「玄葉が一緒だったらな」 私は、先程までの事を思い返しました。 そもそもは、玄葉がハイキングを提案してきた事から始まったのです。インドア派の玄葉にしては珍しい提案だとは思ったのですが、ずっとPCにかじりついているよりは健康的だろうと思った私はそれを受け入れました。 しかし当日になって「ちょっと用事が出来たから先に自然公園の登山口で待ってて」と言われた私は、一人先に来て待っていました。すると後からやって来た玄葉は、幽魅を連れていたのです。その時になって、ようやく私は玄葉の狙いに気が付きました。 幽魅と私の雰囲気がおかしいのを、玄葉は察していたのでしょう。だから三人でハイキングをする事で強制的に一緒の時間を作り、仲直りのきっかけにするつもりでいたのです。 「か、幽魅。おはよう」 「つーん」 「・・・ほら、お兄。幽魅さん。ずっとここにいてもしょうがないし、行こ」 そんな風にぎくしゃくした状態から始まったハイキングでしたが、最初の内は玄葉が上手い事私と幽魅に話を振って会話が途切れないようにしてくれてました。しかしここで計算外の事態が。運動する事に慣れていない玄葉がずっと喋りながら山道を歩くのはだいぶ負担が大きかったようで、途中でバテてしまったのです。そこに親切なおばちゃん(初対面)が通りかかり、玄葉を登山口まで連れて行ってくれる事に。そして玄葉は入り口にある山頂行きロープウェイを使って一足早く山頂に向かう事になりました。そのため、私と幽魅だけがルート上に取り残されてしまったのです。 「って、うわっ!」 考え事をしながら歩いていたせいでしょう。私は張り出した木の根っこに躓き、前を行く幽魅に勢いよく抱き着いてしまいました。 「きゃ!」 と、突然掴んでいた幽魅の肩の感触が消えて、私は前のめりに地面に倒れます。ああ、すり抜けされたのか。 「あ、ごめ・・・」 幽魅が小さく呟き、そして言い切らない内に口を閉じました。私は体を回転させて仰向けになると上半身を起こし、自分の怪我の様子を確認します。幸い、擦り傷程度です。 「・・・」 「・・・」 居心地の悪い沈黙。やがて、幽魅はそっと私に手を差し出しました。 「ほら、また転んで抱き着かれたらたまんないし」 「うん」 その手を掴んで立ち上がります。体温も、脈拍もないその手。だけど、温かい気がしました。 「幽魅、この間は本当にごめん」 手を繋いだまま、私は幽魅に頭を下げます。幽魅は何も言わず、私を見ていました。 「あんなからかうようなやり方で、幽魅に恥ずかしい思いをさせた。私が悪かったよ。何でもするから、許して欲しい。前みたいに幽魅と話したい。幽魅と笑い合いたい。一緒に楽しい時間を過ごしたい」 嘘偽りのない、私の本当の気持ちを告げます。幽魅はそっと私から視線を外して、山道を歩き出しました。私も遅れずにその後をついていきます。今、この手を離したら取り返しがつかないような気がしたのです。 「私も」 幽魅が歩みを止めて、私を振り返ります。その顔には、優しい笑顔が浮かんでいました。 「私も、凪くんや玄葉ちゃんと楽しい時間を過ごしたい。だから、今回だけ許してあげる」 「幽魅・・・ありがとう」 それきり言葉を交わさないまま、私と幽魅は山道を登っていきました。だけど最初とは違う、安心感のある沈黙でした。やがて視界は開け、青空が目に飛び込んできます。 「わぁ、いい眺めだね!風も気持ちいい」 幽魅は繋いだ手を離して、両手を広げて空を仰ぎました。五月の風が気持ち良く頬を撫でていきます。 「幽魅の場合、空を飛んでるとこれよりいい眺めも見られるんじゃない?」 「まぁ、単に視界が広いって点ではそうかも。でも、空では一人だからつまんないよ」 幽魅は手を下ろし、私の方へ振り向きます。 「ねぇ凪くん、さっき何でもするって言ったよね?」 「うん。私が埋め合わせできる事なら」 「じゃあ、さ。もう一回、して」 「何を?」 首を傾げた私に、幽魅は少し照れくさそうな顔で。 「あの時みたいな、気持ちのこもった・・・ちゅー」 私は少し驚きましたが、頷いて幽魅の肩を抱きました。今度は、すり抜けるような事はありません。少し身をかがめて、幽魅の唇が見えている所に自分の唇を持っていきます。 「・・・!?」 「へへ」 すり抜け、ませんでした。思わず顔を離してしまいましたが、まだ唇に柔らかい感触が残っています。面食らっている私に、今度は幽魅の方から唇を重ねてきました。 「・・・っ、ちょ、ちょっと幽魅!?すり抜けてないけど!」 「んー・・・そだねー」 「そだねーって・・・い、いいの?生前の彼氏さんの事とか」 「あいつかー。あれは人生初告白されて舞い上がってOKしただけで、今考えると大して好きじゃなかったっぽいんだよねー。てか、こんな時に元カレの話出すなー」 再び、塞がれる口。そのまま二人して、道端の茂みの中に倒れ込みます。 「ここなら、登山ルートから見えないから。あのままだと凪くん、虚空にキスし続ける危ない人だし」 ・・・つまり、もうちょっと続ける気なんだな。 「幽魅がその気なら、私も遠慮しないよ」 それから一時間ほどして、山頂に着きました。玄葉がロープウェイ乗り場で待っていて、こちらを見つけてやってきます。 「お兄、幽魅さん。遅かったけど何かあった?」 普通の調子で声を掛けてきた玄葉。しかしその問いかけに、幽魅が過敏に反応してしまいました。ばっと口元を押さえ、顔を真っ赤にしながら明後日の方向を見る幽魅。それを見た玄葉は怪訝な顔。まずい。 「幽魅さん?何かあったの?」 「・・・き、気持ち良く、なってた」 「あ」 次の瞬間、玄葉はすごい目で私に詰め寄ってきました。 「おい。何してた」 「ち、ちが、誤解です。景色の良い所で休憩してて、風が気持ち良かったって話なんです。ねぇ幽魅!」 頭から湯気を出しながら何も答えない幽魅。玄葉の堪忍袋の緒が切れる音が聞こえた気がしました。 「お兄!仲直りどころかその先までしろなんて一言も言ってないでしょ!」 「痛い痛い!やめなさいこら!他の人の迷惑になるから!」 散々頬をつねられたり、耳に噛みつかれたりしましたが、それでもしばらく玄葉の怒りは収まりませんでした。

コメント (10)

thi

玄葉さんの顔が本当に怖いです

2025/05/03 12:06
五月雨
2025/05/03 10:20
T.J.
2025/05/03 05:27
Rhinn
2025/05/03 04:51
Kinnoya
2025/05/03 04:21
うろんうろん -uron uron-
2025/05/03 04:01
サントリナ
2025/05/02 20:54
もみ
2025/05/02 20:36

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。 全年齢~R15を中心に投稿します。現在はサイト内生成のみでイラスト生成を行っています。 ストーリー性重視派のため、キャプションが偏執的かと思いますがご容赦願います。

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