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【ラベンダー】入浴剤のCM
家で何気なくテレビを見ていたら、CMに知った顔が出ているのを見つけました。 「あれ、天ノ杓さんだ」 この間キャンプ場で一枚撮らせてもらった天ノ杓エリスロさんが、入浴剤のCMに出演していました。アイドルやってるって言ってたからCMに起用されるのは考えてみれば不思議ではないのですが、バスタオル一枚の姿でテレビに出てるって事は清楚系ではないのかな、売り出し方。たまたまそばにいた玄葉が、私の一言を聞きつけて怪訝な顔をしました。 「お兄、この人誰?何してる人なの?」 「あー、この人は天ノ杓エリスロさんっていうアイドルさんだよ。この間キャンプ場でナンパして一枚撮らせてもらったんだ」 紫色のお湯につかってリラックスする姿や、ラベンダーの花を胸に抱いて商品名をアナウンスするシーンを見るに、このCMはラベンダーの匂いがする入浴剤みたいです。まあ確かに、天ノ杓さんどことなく紫やピンクのカラーが似合うイメージあるもんな。・・・エリスロってギリシア語で「朱色」の意味だけど。そんな事を考えながら画面を見ていると、殺気のような気配が玄葉の方から漂ってきているのを感じました。 「おいナンパって何だ」 「あっ、ち、違うよ!?私の意志でナンパしたんじゃなくって、桃宮ちゃんと橙臣ちゃんが『ちょっと女の子に声かけて写真撮らせてもらえるかやってみて』って言うから!」 「だとしてもこの人を選んだのはお兄だよね?」 「・・・はい」 玄葉はスマホで天ノ杓さんの事を調べ始めました。・・・なんか怖い、お願いだから天ノ杓さんがセンシティブな活動してませんように。 「トップアイドルには程遠いけど、そこそこ売れてるっぽいね。頻度は多くないけど、単独でライブイベントやる事もあるくらいか」 「そ、そうなんだ?私、天ノ杓さんは一枚写真撮らせてもらっただけだから、活動内容とか良く知らなくて」 「・・・あー、お兄アイドルとか興味ある方じゃないもんね。そっかそっか。ん、分かった」 玄葉は何か納得したように立ち去りました。とりあえず、ひどい目には遭わずに済みそうだ。 「・・・でも、天ノ杓さんって割と近くに住んでるのかな。あのキャンプ場にロケスタッフの同行も無しに一人で歩いてただなんて、アイドルとしては不自然だし」 もし仕事とかで会う事があったら、もうちょっと親睦を深めてみよう。