thumbnailthumbnail-0thumbnail-1thumbnail-2thumbnail-3thumbnail-4thumbnail-5thumbnail-6thumbnail-7

1 / 8

秘密の浴衣

14

2025年06月04日 15時14分
対象年齢:全年齢
スタイル:イラスト
デイリー入賞 182

祭りの夜、境内の片隅。屋台の喧騒から少し離れた石段に、浴衣姿のふたりが並んで座っていた。 「……華蓮さん、本当に似合うわね。その浴衣」 「ありがとうございます。先生こそ、普段と雰囲気が違って、少し……綺麗です」 「えっ……そ、そう?」 怜花は頬を押さえてそっと目をそらす。浴衣の襟元からのぞくうなじが、わずかに火照っているようだった。 「帯、さっき引っ掛けて、ちょっと歪んでしまって。……直ってるかな?」 「ええ。直ってますよ。でも……」 「でも?」 「先生、帯の位置、反対です。文庫結びが……後ろじゃなくて、横になってます」 「えっ!? うそ、ずっと……っ!?」  怜花は恥ずかしそうに帯を直そうとする。 「大丈夫ですよ。先生、そのままでも可愛いので」 「もう……からかって?」 華蓮は微笑みながら 「フフッ少しだけ。でも、少し……本音です」 怜花はしばらく絶句し、ふと吹き出す。 「なんだか、今日はずっと、華蓮さんにペースを握られてる気がするわね」 「それはきっと、浴衣の魔法です」 「……魔法?」 「着慣れない布で包まれると、心もほどけるんですよ。帯の締め方とは、反比例で」 「なるほど。じゃあ、もう少し魔法にかかってようかな~?」 怜花はいたずらっぽく言う 「ええ。夜風が涼しくなるまで……」 ふたりの間に、少しだけ手のひらが近づく。指先がふれるか、ふれないかの距離。 花火が遠くで上がる音がして、夜空に淡い光がにじむ。 「先生」 「うん?」 「来年も、一緒に来ませんか?」 怜花は驚いたように振り向き、照れくさそうにうなずいた。 「……そうね。来年も……ね……」 夏の風に、浴衣の裾がふわりと揺れた。

コメント (7)

九一
2025/06/05 14:03

ピッカ

2025/06/05 14:22

white-azalea
2025/06/05 11:08

ピッカ

2025/06/05 11:59

五月雨
2025/06/05 11:03

ピッカ

2025/06/05 11:59

タカ
2025/06/04 23:51

ピッカ

2025/06/05 11:59

へねっと
2025/06/04 22:11

ピッカ

2025/06/05 11:58

もみ
2025/06/04 21:44

ピッカ

2025/06/05 11:58

謎ピカ
2025/06/04 19:31

ピッカ

2025/06/05 11:58

130

フォロワー

306

投稿

AIが織り成す幻想的な美の世界に魅了💖AIと共に新たなアートの可能性を追求中 🌟デジタルな未来への扉を開く鍵を探求中 🔑🚪\\\"

おすすめ