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秘密のビニール傘

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2025年05月27日 15時00分
対象年齢:全年齢
スタイル:イラスト
デイリー入賞 123
参加お題:

雨の放課後、校門の前。 紫峰怜花はぽつぽつと降り始めた雨に眉をひそめた。持っていたのは、コンビニで買ったビニール傘。 傘の親骨とダボの部分が壊れていて歪な形になっている。 ちょっと情けない気もするが、背に腹は代えられない。 すると、横からそっと差し出されたもうひとつのビニール傘。 「先生、それ、少し壊れてますよ」 声の主は狭霧華蓮。彼女の傘は、ほとんど新品のようにきれいだった。 「ええそうなの……でも……この雨の中、傘なしでは……」 彼女は少しだけ傘を傾けて、ふたりの傘が重なるように調整した。 「……なにしてるの?」 「先生の傘、壊れていましたから。雨、入ってきますので」 「え、でも……」 「透明なので、境界が目立ちませんね。共用も自然です」 「そ、そうね……ちょっと近いけど……」 「必要な距離です」 それきり、華蓮は黙った。 並んで歩く道すがら、ふたりの傘はぴたりと寄り添ったまま。 互いの息づかいすら聞こえる距離。透明なビニールが雨粒を弾き、そのリズムが心地よい静けさを生む。 「ねえ……華蓮さん……」 「はい」 「時々びっくりするくらい優しいのね……」 「先生が困っていたのでつい」 「そう……ありがとう」 「……」 ふたりの視線が、一瞬だけ重なった。 傘越しの世界は、すこしだけやわらかく、やさしく見えた。 雨はそのまま、静かに降り続いていた。 けれど、ふたりの肩に落ちることはなかった。 なにしろ、そこには—— 小さな、でも確かな、透明な屋根があったのだから。

コメント (9)

五月雨
2025/05/28 13:13

ピッカ

2025/05/28 13:16

うろんうろん -uron uron-
2025/05/28 12:38

ピッカ

2025/05/28 12:46

九一
2025/05/28 04:17

ピッカ

2025/05/28 12:14

へねっと
2025/05/28 03:44

ピッカ

2025/05/28 12:13

タカ
2025/05/27 22:28

ピッカ

2025/05/28 12:13

もみ
2025/05/27 21:50

ピッカ

2025/05/28 12:13

Crabkanicancer
2025/05/27 21:36

ピッカ

2025/05/28 12:12

謎ピカ
2025/05/27 19:31

ピッカ

2025/05/28 12:12

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