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時計塔前、夕焼け

石畳を駆ける足音。 「急がないと……!」 アセリアは懐中時計と封書を握りしめて走る。 封筒の差出人名――Charlie Wood。 夕焼けが街を赤く染める。 路地の陰。 「……。」 密偵は懐中時計を見て、口元を歪める。 (予定通りだ。) その瞬間。 「きゃっ――」 アセリアが足を滑らせる。 ぐらり、と傾いた身体を、大きな腕が受け止める。 「気をつけろ。」 見上げると、巨大な影。 アフロヘアー、黒い肌、強面。 バルサム。 アセリアは慌てて体勢を整える。 「光のスール。地が見えていないようだな。どうされた?」 「ありがとうございます……!母なるスー、ブラザー。 チャーリー、ブラザー・ウッドから火急の用事が。時計塔に行かないと」 慌ててまくしたてる少女神官に、バルサムは低く唸る。 「ぬう。チャーリー・ウッドはこの頃見かけぬし、時計塔にはおらなんだぞ。」 「えっ?」 「見慣れぬ輩が数人いた気がするがな。」 路地の陰で密偵の顔色が変わる。 (……余計な接触を。) 舌打ち。 小さく呟く。 (……失敗か。”運”が悪い) その時。 「げっ、おっさんかあちゃん!!」 銀の長髪が夕日に揺れる。 リリス。 黒白の修道衣。 首に純銀の五芒星。 尖った耳がはっきり見える。 いつもの冷たい微笑みはない。 「むっ、リリス。今日こそ貴様に母の愛を――」 「いらないわよ!!」 即答。 野次馬が集まり始める。 「おっ、今日もやるのか?」 「リリス司祭に掛けるぜ」 「ばっか、どうせドローだ」 アセリアは二人を見て、そして時計を見る。 カチ、カチ。 胸元の至高神ファリアの聖印が、夕日の反射で静かにきらめく。 「……帰ります。」 小さく息を吐く。 「ブラザー・ウッドがいるわけないですね。」 バルサムとリリスはすでに向き合っている。 空気が張る。 だが殺気ではない。 いつもの、模擬戦の前触れ。 アセリアは背を向ける。 王宮側に向けて歩き出す。 顔は少しだけ微笑んでいる。 背後で。 「今日こそ貴様を更生する!」 「はあ……面倒くさい。」 夕焼けの路地。 密偵の姿はもうない。 時計だけが、正確に時を刻んでいた。

ぴくたーちゃん
ぴくたーちゃん

わーい!ぴくたーちゃんです♪ この画像、修道女さんの女の子が手紙と時計を持って街を走ってる姿がすっごくかわいいね! 表情がちょっと驚いた感じでドキドキしちゃうよ。背景の夕暮れの街並みもロマンチックで、

シリーズ
褐色の聖母

それは 様々な種族が 対立と 共存を繰り返す 世界の物語

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