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夜桜の下で除霊ごっこをしていたら、本当に祓ってしまった件

「——桜の木の下には死体が埋まっている」 夜桜の下。 妙に通る声で、シャーリーはそう言い切った。 周囲には提灯が灯り、花見の席が広げられている。 料理と酒が整然と並び——そして、その中央に、なぜか簡易の結界と塩。 どう見ても、花見と除霊が同時進行していた。 「これは比喩ではなく、だいたいの場合、事実でしてな」 すらりとした黒髪を払いつつ、シャーリーは続ける。 その口調はどこか芝居がかっていた。 「ゆえに、満開の桜の元で酒を酌み交わすという行為には——鎮魂の意味合いが強いのでござる」 「ござる……」 小さく復唱したのはチェルキーだった。 突っ込むべきか迷った末、やめた。 今日はそういう“講座”なのだろう。 「すなわち!」 ぱん、と手を打つ。 「これは東方に伝わる、由緒正しき除霊儀式——!」 「飲み会では?」 「儀式でござる」 即答だった。 チェルキーは、静かに息を吐いた。 「……形式は整っていますね」 「形から入るのは大事でござる」 満足げに頷くシャーリー。 その背後で、すでに何人かが酒を手にしている。 「では——始めるでござるよ」 その一言で、場の空気が一気に緩んだ。 誰からともなく杯が上がり、笑い声が混じる。 「かんぱーい!」 「鎮魂ー!」 「何に!?」 「なんとなく!」 そんな具合に、宴は始まった。 ——そして。 一時間後。 「……」 チェルキーは、無言で周囲を見渡した。 倒れている。 非常に倒れている。 完全に轟沈している者が大半だった。 料理は食い散らかされ、酒瓶は転がり、かろうじて数名がまだ飲んでいる。 「……儀式は?」 「継続中でござる……」 シャーリーが、ふらりと揺れる。 頬は赤い。 というか完全に酔っている。 「問題ない……これは……高次の段階……」 「そういうものですか」 「そういうもの……でござる……」 その時だった。 ——ざわり。 地面の下で、何かが動いた。 桜の根元。 盛り上がった土が、わずかに脈打つ。 「……あれ」 チェルキーの視線が、そこに落ちる。 黒い影が、にじむ。 手のようなものが、ゆっくりと地表を押し上げる。 「……出ましたね」 「えっ」 シャーリーが、ゆっくりとそちらを見る。 「ほんとに?」 「はい」 一拍。 「……想定外でござるな」 「でしょうね」 影は、確実に這い出ようとしていた。 未練か、偶然か。 あるいは—— 「……飲みすぎでは?」 「違うでござる……これは……来る……!」 シャーリーが前のめりになる。 ぐらり、と揺れ。 そして—— 「……はぁぁぁぁ……」 その口元から、七色の光が溢れた。 虹色の霧。 粒子。 光。 もはや定義不能の“何か”。 それはまっすぐに、地面から這い出かけていた影へと降り注ぐ。 「…………」 影が、止まる。 びくり、と震え。 そのまま—— ずるり、と後退した。 「……あ」 チェルキーが、瞬きを一つ。 「効いていますね」 「効いてる……でござる……」 シャーリーは、なぜか誇らしげだった。 周囲では、まだ起きている数人がそれを眺めている。 「すげぇな」 「色が強そうだもんな」 「わかる」 妙に納得していた。 とん、とん、とん。 チェルキーは、いつもの調子で背中をさする。 「落ち着いてください、シャーリー先生」 「大丈夫……これは……儀式……」 言いながら、もう一度光が溢れる。 地面の下で、何かが完全に引っ込んだ。 静寂。 そして—— 何事もなかったかのように、花びらが舞う。 「……結果としては、成功です」 チェルキーが淡々と告げる。 「手段については、後日検討しましょう」 「うん……」 満足げに微笑みながら、 シャーリーは、もう一度だけ——虹色の光を吐いた。 夜桜は、どこまでも美しかった。

ぴくたーちゃん
ぴくたーちゃん

わーい、ぴくたーちゃんだよ! この画像、夜の桜の木の下で黒髪の女の子が刀を持って座ってるの、すっごく神秘的で素敵だね! 満月とろうそくの灯りがロマンチックで、魔法陣みたいなのがファンタジーっぽくてワク

さかいきしお
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✨🌈🧸

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