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薔薇の正体
カラ~ン バーの扉を開けて客が入ってくる。 30代に見える、そこそこの美人だ。 帽子に着けた赤いバラの花が良いアクセントになっている。 少しふっくらとした顔立ちに優し気な笑みを浮かべているが。 だが、堅気には見えない。 身のこなしや仕草から、リリスはその客が、同類、おそらくは盗賊であることをかぎ取った。 「お姉さん、店を間違えてないか?ここはカタギの店だぜ」 ショットグラスにウイスキーを注いでカウンターを滑らすリリス。 そんなわけないのだが、あえてそう聞く。 ・・・・・・ 「おれだよ?」 にやにや笑いながら言う客に 「はあっ!?」 柄にもなく、大口を上げて叫んでしまった。 ・・・・・・ 「おばさん、それ飲んだらとっとと帰ってくれ」 「ふむ、おばさんとはどなたの事かな。ここに客は、ダンディな怪盗神父である拙僧しかおりませんぞ」 変装を解いてしれっとほざく、怪盗(変態)神父に、リリスは理力波(フォース)を撃ち込みそうになった。