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寒い時こそ
狐巫女様の神社で、またダキニラが微妙な商売をします。 今回は神罰が下るかもしれないです。 https://www.aipictors.com/posts/562463 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「あっ、アイスあるよ~ あっ、甘くてとってもおいしいよ~」 肌もあらわな、というか寒々しい格好で、ガチガチ震えながら屋台でアイスを売るダキニラ。 勿論、雪が降り積もる神社の境内で、アイスを食べたいというもの好きは多くない。 (さっ、寒い!! 今日から季節外れの陽気になるって聞いたのに) ところがどっこい、雪が舞い降りるほどの寒の戻りである。 「つっ、つめたくて、美味しいよ~ 誰か買って~」 (馬鹿垂れ、神様の奇跡を安売りした神罰だ) その様子を、境内の陰から覗く黒衣のプリースト。 さて、どうしようか。ぶん殴って家に連れ帰ろうか、と思っていたが。 神社の巫女様、狐の獣人なのでダキニラに似ている、だけど雰囲気が全く違う、東洋風の巫女服の少女が現れた。 「あっ、あの、幸運の巫女様……」 一応、ダキニラも幸運神の女性プリーストなので、巫女と言えばそうなのだが、本物の巫女様の口から出ると違和感があるが。 狐巫女様は、心配そうな表情を隠しつつ笑顔で問いかける。 「真冬に氷菓子とは珍しいですね?おひとつもらえますか」 後ろには、彼女の信者らしき男女も続いている。 「ありがと~!!巫女様!!私、お稲荷さんに鞍替えしちゃう!!」 満面の笑顔を浮かべるダキニラを見て。 (信仰まで売り渡してどうする?) たちの悪い冗談に呆れながらも、リリスは真冬のアイスを味わうために、物好きの輪に加わるのだった。