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【白い息】瑞葵ちゃん風邪を引く
『凪さん助けて』 瑞葵ちゃんからそんなメッセージがスマホに届き、何があったのか詳しく聞いたら『風邪を引いて高熱が出ているけど、他の家族は皆仕事とかで出かけていて家に一人』という状況なのが分かりました。私は買い物をして瑞葵ちゃんの家に向かいます。風邪薬などは使い慣れたものがあるはずなので、ゼリー飲料と経口補水液を持っていく事にしました。特にゼリー飲料は水分補給しつつ、商品次第でエネルギーやビタミンなどを補えるので風邪の時には重宝するのです。 瑞葵ちゃんの家に着いて合鍵で開錠し、瑞葵ちゃんの寝室を訪れると随分と体調の悪そうな彼女。息遣いが荒く、熱に浮かされた顔をしています。 「凪さん・・・ありがとうございます。ごめんなさい、急に呼び出してしまって。お仕事大丈夫でしたか・・・?」 「大丈夫だよ。それにもし私が仕事で来れなくても玄葉や幽魅に頼むつもりだったから」 私は瑞葵ちゃんにゼリー飲料を見せて、食欲が無い時はエネルギーが多いもの、おかゆ程度は食べられる時はミネラル・ビタミン系を飲むように説明しました。一応今はおかゆくらいは食べられるようですが、料理する元気が無いみたいなので両方買ってきて正解でしたね。 「他に欲しいものがあれば買ってくるよ。もしくはしてほしい事でもいいけど」 「お買い物はもう大丈夫です。レシート下さい、お支払いします」 「ごめん、レシート捨てちゃった。いいよタダで」 レシート捨てたのは嘘ですが。これくらい、大した出費ではありません。 「そうですか・・・それじゃあ、着替えと身体を拭くのを手伝ってほしいです。に、臭いますよね・・・?」 うっ、やっぱりそれ頼まれたかぁ。瑞葵ちゃんの性格からして、肌を見せる事にそこまで抵抗なさそうだからこの要求は来るだろうなとは思ってましたが。でもどっちかというと、体臭の方を気にして恥じ入っている様子です。それに汗をかいているなら気持ち悪いのは間違いないだろうし、やってあげるしかないか。 「分かった。洗面器とかタオル、お風呂場のを借りるよ?」 私はキッチンから電気ケトル・洗面所からタオル数枚・お風呂場から洗面器を借りて瑞葵ちゃんの部屋に持っていきます。電気ケトルで沸かしたお湯を洗面器に出して、少し冷ましてからタオルにつけて熱いおしぼりのようにして使うためです。後は瑞葵ちゃんのクローゼットから、着替えのパジャマとランジェリーを出しました。それから瑞葵ちゃんのパジャマを脱がせます。今日はボタンタイプじゃなくシャツタイプのを着ていたので、ちょっとバンザイしてもらって脱がすのに協力してもらいました。 「それじゃ、前から拭いていくから」 「はい・・・」 身体の前面で下着に覆われていない部分を、熱いおしぼりで拭き上げていきます。改めてじっくり見ると、余計な肉付きのない美しいスレンダーボディですね。女の子らしい柔らかさとすべすべの肌をしていて、若さっていいなぁって思います。初めて出会った日、この格好で川遊びする瑞葵ちゃんに目を奪われてしまったのを思い出しました。本当に私好みの身体してるんだよな。 「はい、大体前は拭いたから、次は背中ね。起きられる?」 「大丈夫です」 瑞葵ちゃんにベッドの上に起き上がってもらって、長い髪をよけて背中を拭いていきます。拭くのに邪魔だったから、ブラはホックだけ外させてもらいました。 「はい、出来たよ。後は胸とパンティの中だけど、そこは自分でやってもらっていいかな?私は外に出てるから、着替えまで終わったら呼んでね」 私は一旦部屋を出ます。瑞葵ちゃんなら全部拭いても怒らないかもしれないけど、私が我慢できなくなるので。体調の悪い女の子を襲うなんて最低ですし。 「凪さん、いいですよ?」 瑞葵ちゃんが呼んだので、部屋の中に戻ります。汚れたパジャマと下着を回収し、お洗濯。玄葉と二人暮らししているから、実は女の子の下着の洗濯も勝手は分かっています。身体拭きに使った道具も片づけて、瑞葵ちゃんのそばに戻りました。 「凪さん、ありがとうございます。すごく気持ち良かったです」 次の瑞葵ちゃんの要望はおかゆだったので、おかゆを作って食べさせてあげました。ゼリー飲料も飲ませると、大分落ち着いたようです。 「他には何かある?」 「ええと・・・あ、そう言えば風邪ってキスして人にうつすと治るって都市伝説があったような・・・?」 ・・・これ、誘ってるのかな。いやでも、瑞葵ちゃんの性格からして私にうつそうなんて思わないだろうし。「元気になったらね」って言おうか。いや待った、その言い方だとダメだ。 「少なくともキスは、瑞葵ちゃんが元気な時じゃないとね」 「むぅ。凪さんなら『元気になったらね』って言ってくれるかと思ったのに。そう言ってくれたら、風邪が治ったらキスする約束にできたのに・・・」 危なかった、寸前で回避したぞ。油断も隙もないな。 「じゃあせめて、寝かしつけのために胸をトントンしてもらえますか?私が寝たらお帰りいただいても結構ですので・・・」 それくらいならいいか。巨乳の子だと無理だけど、瑞葵ちゃんのサイズなら乳房同士の間をトントンできるし。私は瑞葵ちゃんの胸骨の上をトントンしてあげました。 「ころします」 「えっ」 急に瑞葵ちゃんの目が真剣になった。私何かマズい事したかな!? 「凪さんがここまでしてくれたので、必ず風邪のウイルスは皆殺しにしますから。また元気になったら、お礼しに行きますからね」 「あ、ああ。うん、元気な瑞葵ちゃんに会えるのを楽しみにしてるね」 びっくりした。その後しばらく瑞葵ちゃんの胸に一定のリズムを刻んでいると、瑞葵ちゃんはすやすやと眠ってしまいました。私は瑞葵ちゃんの髪にそっとおやすみのキスをして、鈴白家を後にしました。その夜、向日葵ちゃんにこの時の私の一連の行動が瑞葵ちゃんの口から伝わり、向日葵ちゃんには『早渚さん距離感おかしいですから!』とか言われましたが、どのあたりがおかしいんだろう。看病としてスタンダードな行動がとれてると思うんだけどなぁ。鈴白家のローカルルールでもあったのでしょうか。不思議。