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【中華風】貧乳中華メイド版のコマメちゃん
今日は晶さんが昼食に招待してくれました。玄葉と一緒に金剛院邸を訪ねると、早速コマメちゃんの後ろ姿を見つけます。 「コマメちゃん、来たよ」 「あっ。いらっしゃいませ、パパ」 あ、コマメちゃんの目が赤い。バッテリーが残り少ないのか。そんな事を思っていましたが、玄葉が虫けらを見るような目で私を睨みました。 「おい。パパって何だ」 「えっ、あっ、違うよ?パパ活みたいな事じゃないよ?」 私は慌てて玄葉に釈明しようとしました。が、コマメちゃんがか細い声で呟きます。 「パパ、申し訳ありませんが、そこのコンセントで先に充電を。残り電力2%です」 あのワニ口クリップ付きのケーブルを渡されました。残り2%だと、かなりマズい。しかし私がやるのもあまり良くないだろうし、玄葉に頼もう。 「玄葉、これ」 「え、これ何?」 私が渡したケーブルを、玄葉は怪訝な顔で見つめます。 「そのクリップを乳首に挟んで、プラグをコンセントに差してもらえる?」 「ど変態!」 いきなり顔面にケーブルを投げつけられました。 「そんな事出来る訳ないでしょ!?ていうか普通に感電死するわ!」 感電死?あっ、しまった言葉が足りなかった。コマメちゃんの乳首って言わないと。 「違うよ、玄葉の乳首に挟んでどうするのさ!コマメちゃんの乳首を挟むに決まってるでしょ!」 「何がどう決まってるのよ!?キマってるのはお兄の頭の方じゃない!平然と女の子の乳首に電流流そうとすな!」 私たちがそんなやり取りをしていると、廊下の向こうから花梨さんがやってきました。 「早渚さん、玄葉さん。いらっしゃいませ。あの、人の家の廊下で乳首がどうとか大声で叫ばないでもらえます?」 「「すみません」」 私たちは花梨さんに頭を下げました。その後、コマメちゃんを小部屋に入れてケーブルを接続するのを花梨さんにやってもらいます。その間に、私はコマメちゃんがロボットである事や私がパパと呼ばれる理由とかを玄葉にちゃんと説明しました。それでようやく、先程からの会話の流れを玄葉に理解してもらえました。 「今日はあの子にも給仕を手伝わせるので、貧乳型にしてあるんです。タイミング悪かったですね」 「ああ、貧乳型はバッテリーが長持ちしないんですよね」 私が頷くと、花梨さんはじっと私を見つめました。何だろう。 「早渚さん、どうしてあの子のバッテリー能力をご存じで?」 「え、そりゃ・・・」 言いかけて気付きました。コマメちゃんからそれ教えてもらった日、私は晶さんや花梨さんに会ってません。それどころか、晶さんの恥ずかしい秘密まで聞いてしまってます。バレたらマズい。 「む、胸がバッテリーって聞いてたんで、サイズで容量違うのかなって思って!」 「へえぇ~・・・」 花梨さんは、おもむろに私の背後に回ると、チョークスリーパーの形で密着してきました。 「花梨さん!?む、胸当たってますよ!」 「ですよねぇ。でも早渚さんは慎ましい方がお好きなんですっけ?あの子の胸を揉みながらそうおっしゃってましたよね」 「な、なぜそれを」 「あの子が単独行動してた時のログは、後で私がチェックしてますから。あの子の視点での録画映像で。だから内緒にしようったってそうはいきませんよ」 ギリギリと締め上げが始まりました。 「ご、ごめんなさい!」 「何に対して?」 「あ、晶さんの恥ずかしい秘密を聞いてしまいました。あとコマメちゃんの胸を触りました」 「他には?」 他!?何かあるかな、花梨さんを怒らせてそうな要素。もう分からないから、適当に花梨さんを褒めよう。 「お、大きい胸も好きです!花梨さんのおっぱい最高!」 「突然何ですか!?まったく、もう・・・」 花梨さんは呆れたように拘束を解いてくれました。ただし玄葉にはまた冷たい視線で睨まれます。 「ドスケベ野郎」 ひどい。何もしてないのに。 その後、回復したコマメちゃんと一緒に食事の用意がある部屋へ向かいます。貧乳型だから充電されるのも早かったようです。 「あの、コマメさんは本当にロボットなんですか?」 「左様でございます」 尋ねた玄葉に対して、右手を持ち上げて手首から先だけドリルみたいに回転させて見せるコマメちゃん。これは信じざるを得ないだろう。 「すごい・・・」 「ご理解いただけましたか、玄葉叔母様」 玄葉の顔が凍り付きました。 「おば・・・さま?」 「はい。パパの妹という事は、叔母様という事です。そうですね?」 確かに、父親の妹は叔母だけど・・・玄葉が凄い顔でこっち見てくる。あれは『こんな屈辱、お兄のせいだからね』という顔だ。私はそんな視線に耐えながら、目的の部屋を目指します。そこにはおいしそうな料理と、晶さんが待っていました。 「ごきげんよう、早渚さん。先日はいらしていただいたのに、おもてなしもできませんで失礼いたしましたわ」 「こんにちは晶さん。こちらこそ勝手にお訪ねしてしまってすみませんでした。本日はお招きありがとうございます」 「ありがとうございます」 私と玄葉は晶さんに頭を下げます。このリアクションだと、コマメちゃんのログは晶さんまで伝わってないみたいだ。助かった。 「お二方とも、お席にご案内いたします」 コマメちゃんがこちらに手を伸ばして、エスコートしてくれようとしています。私たちはコマメちゃんの案内に従って席につきました。今日はコマメちゃんの動き、心なしか機敏です。 「ふむ、やはり動作は貧乳型バッテリーを使用している時の方が俊敏ですわね」 「いやでも残量ゴリゴリ減りますよ?バランス考えたら標準型をメインにしておくのがいいんじゃないです?」 晶さんと花梨さん、コマメちゃんの評価をしてるみたいだ。今日呼んでもらったのは、コマメちゃんが実際にお客さんに対して給仕ができるかのテストでもあるんだろうな。と、晶さんが席を立って私にすり寄ってきました。 「ねえ、この子の将来の事ですから、一緒に考えていただけます?パ・パ♡」 「お嬢様、姑息ですよ!?そのパパは配偶者に向かって言うニュアンスのパパでしょ!」 「早渚さん、わたくしがママでよろしいでしょう?」 「いいえ、私がママです!ねえ早渚さん!」 まずい、またママ問題が発生してる。ここはコマメちゃんの力を借りよう。 「コマメちゃん、玄葉が叔母さんなら、ママの条件は私の妻じゃないとダメだよね?」 「はい。パパと結婚していない人物はママと認めません」 よし、コマメちゃんがこう言うなら強気に出れるぞ。 「だそうですよ、晶さん、花梨さん。お二人は条件を満たしてないから駄目ですね。いやあ、これが本当の『ままならない』ってやつですね」 しーん、と静寂が訪れました。やばい、滑った感じが半端じゃない。そんな中、コマメちゃんが呟きます。 「成程、お二人は条件にあてはまらないから『ママにならない』のと『ままならない』という言い回しを掛けたシャレですね。さすがパパです」 「やめて!滑ったシャレを解説しないで!それ死体蹴りって言うんだよ!」 その後の食事の味はよく覚えてません。調子に乗って上手い事言おうとするのはもうやめよう。