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お忍びで偲んで
「あっ、そこのお姉さん 美味しいカバル焼きどうですか ニータちゃん特製カバルは売り切れちゃったけど」 寒々し気な、東方風の破廉恥、もとい法被を着た狐耳の少女が元気に焼きそばの売り込みをしている。 「あら、では一つ貰おうかしら。」 「まいどあ・・・・・・」 「あら、どうかされましたか?巫女様?」 ダキニラは、あんぐりと口をあけて固まったが……。 そこは盗賊巫女、言葉に出したりはしなかった 「どうされたか。巫女殿?」 奥に引っ込んでいた中年が、何かを感じ取って出てくるが。 流石に怪盗神父チャーリー・ウッドは年の功。 そこまで固まったりはしなかったが。 やっぱり驚いた顔をしている。 「おや、セリーちゃん、久しぶりだな」 「ここは、変らないですね」 セリーこと、セリーヌ、この国の女王陛下と同じ名前を持つ女性は、以前下町で暮らしていた時と同じ笑顔で微笑んだ。