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戦場のサマークリスマス

「いやですよ。隊長。なんで私たちがこんな格好しないといけないんですか」 倉庫の中で、中年の傭兵と、黒ワンピースに金髪ポニーテールの傭兵少女が口論している。 何やら少女の手には、赤い服、時季外れだがサンタクロースの衣装らしきものを手に持っている 「司令部で、何を思い立ったのか、サマークリスマスの祝いをやろうという話がでたんだよ」 倉庫に置かれているのは、前線に運ぶための慰問物資の数々だ。 「だからって、どうしてこんな格好を。私たちは慰問部隊じゃないですよ」 女性隊員が多くをしめる、隊長以下の部隊が、サンタクロースの格好をさせられるらしい。 「そういうな。前線の兵士たちにも娯楽は必要と言われたら仕方がない。 それに、俺たちの評判は知っているだろう。女ばかりで優遇されていて、鼻持ちならん。 そのくせ、上部の評価は高くてお高く留まってやがる、まあ、これはやっかみだろうが」 「ふん、男の嫉妬なんてみっともない。ほっときゃあいいんです」 「そうもいかんよ。少尉。お前たちのためでもあるんだ。危ない時にサボタージュを決められたり見殺しにされたら全滅しかねん。 少しぐらいの媚で、いざという時に、体を張って助けてくれるんなら安いものだ」 隊長は、副長を務める金髪ポニーテールの少尉より、二回り近く年上だ。 人生経験上、忖度も必要だと訴えるのだが、若い娘でプライドも高い少尉は納得できないようだ 隊長は、ため息をつくと続ける 「俺は、お前のサンタ姿、見てみたいがな。似合うと思うぞ」 「えっ、たっ、隊長、何を言って」 その一言で、少尉の顔は瞬時に真っ赤にそまる 「まーた、爆発するんですね」 そのとき、にょっと、段ボールの陰からサンタクロースの格好をした、銀髪ロングヘアーの少女が現れた。 「あっ、ごっ、伍長」 「いつからそこに」 うろたえる二人をよそに、伍長はにやにや笑いながら言う 「副長のサマーサンタ、似合うんじゃないですか まあ、私の方が似合っていて可愛いんですけどね」 そこまで言うと、伍長はにやにや笑いを浮かべたまま出ていく 「ごゆっくり~。しっかり爆発してくださいね」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 毒気を抜かれた二人がしばらく黙った後 「よっ、よーし、着てやろうじゃないの」 少尉がやけくそ気味に言った。 「Mr.ハートにも応援を頼んである。いろいろと危ないことは、起こらないだろうから、頑張ってくれ」 「ひゃあっほう!!」 「やったぜ!!」 「若いねーちゃんだ」 「あいつらがブラックピースかよ。かわいーじゃねーか。どんなおっかない雌ゴリラ達かと思ってたぜ」 前線に、慰問物資とともに訪れた、サンタ姿の傭兵少女たちに、若い男性兵士たちの歓声や、はやし声が浴びせられる 少尉以下の面々は、多少ひきつった顔で笑いながら、物資を届けている。 中にはノリノリで、サマーサンタ姿を披露している者もいるが 「はいー、真夏のサンタさんからのプレゼントですよ・・・」 副長の少尉が、物資の山の前で、精一杯の笑顔を浮かべながら言うが・・・ 「おう、ねえちゃん、お子様のプレゼントだけじゃなくてよ。このまま大人のプレゼントもしてくれよ」 だんだん日が暮れて来て、彼女たちに下卑た口をききながら近づこうとする兵士が出てきた 笑顔が消えた副長の少尉が銃を向けるより先に、兵士と少女たちの間に巨大な人影が立ちふさがる 「ぶひひひひ、たっぷり大人のサービスをして差し上げますよ」 その巨漢は非常に太った中国人で、サンタ帽と赤いズボンだけの姿で、胸にはハートの刺青を入れていた

さかいきしお

コメント (1)

佳乃
2023/08/25 04:34

さかいきしお

2023/08/25 04:47

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