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『聖獣と魔獣の契約』
天空の神殿に住まう天使は、静かに祈りを捧げていた。 その背後には、純白の鬣を持つ聖獣――王冠を戴く光の獅子。 それはただの守護ではない。 彼女の“慈悲”そのものが具現化した存在だった。 争いを知らぬ者に微笑みを、 傷ついた魂には安らぎを。 その願いが、獅子の光となり世界を照らしていた。 ――だが、その光の裏側には、必ず影がある。 灼熱の魔城。 炎が脈打つ玉座の間に立つ悪魔は、退屈そうに微笑んだ。 その背後には、牙を剥く黒き魔獣――焔を纏う地獄の獅子。 それは彼女の“欲望”と“支配”の象徴。 「壊すこともまた、救いなのよ」 そう囁く彼女の声に呼応するように、獅子は低く唸る。 力こそが真理、強き者こそが正義。 彼女はその信念を、炎と共に世界へ刻もうとしていた。 やがて―― 光と焔は交わる。 天より舞い降りる白き翼。 地より這い上がる黒き翼。 二人の足元に従うのは、それぞれの“信念”の化身たる獅子。 慈悲か、支配か。 救済か、淘汰か。 その戦いは、ただの善悪では終わらない。 それは“世界の在り方”そのものを決める、 終わりなき対峙だった――。
