蒼穹のフロンティア 番外編【蒼穹の花嫁】
静寂に包まれた教会に、淡い光が差し込む。 色とりどりのステンドグラスが砕けた星のように輝き、その中心に立つのは、純白のドレスを纏ったアリシアだった。 戦場で幾度も死線を越えてきた彼女の瞳は、今は穏やかで、どこか柔らかな光を宿している。 手に抱えたブーケには、白と蒼の花々――まるで彼女の歩んできた「戦い」と「希望」が静かに寄り添うように咲いていた。 ここは、現実とは異なる“もしもの世界”。 銃声も、警報も、戦火も存在しない――ただ祝福だけが満ちる場所。 ゆっくりと一歩踏み出すたび、ドレスの裾が光を纏い、まるで蒼穹そのものが彼女を包み込んでいるかのようだった。 「――こんな未来も、あったのかもしれないね」 誰に向けたわけでもないその言葉は、静かに溶けていく。 それでも彼女は微笑む。過去を抱えたまま、それでも前を向くために。 この瞬間だけは、戦う者ではなく―― ただ一人の“花嫁”として。 蒼穹に祝福された、その姿で。
