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黒海猫亭の美少女料理人

「チェルキーちゃん、ちょっと露出が少なくないかにゃ?」 夕暮れどきの黒海猫亭。店長がくるくると尻尾を揺らしながら、厨房の奥から顔を出した。 スツールに腰を下ろしている少女──チェルキーは、ピシッと足を組んで、片手でスカートの裾を整えながらむすっと口を尖らせていた。 肩にはふんわりとした白のフリル付きのショール、黒を基調にしたラテックス地の制服は光を反射して鈍く艶めいている。だが、襟元まできっちり閉じ、タイツも艶の少ない深い色に変更されている。 足元に揃えられたのは、すらりとしたヒールのパンプス──店長があつらえた、特注のハイヒールだ。 「ふん、少尉やリリス、チャーリーもやったっていうから手伝うけど……私はあくまで料理人、そこは間違いないでね」 「にゃふふふ、わかってるにゃ。チェルキーちゃんにはシェフとして腕を振るってもらうにゃ。カウンター奥の厨房、使っていいにゃ」 言いながら店長はくるりと一回転。しっぽが軽快に舞い上がる。 チェルキーは頷いて、厨房へと向かう。その背中はどこか誇らしげだった。 * 厨房に響く包丁のリズム、火と香辛料が奏でる香りの交響楽。 リリスがオーダー票を確認しながら声をかける。 「シェフー、テーブル3番のお客さん、料理めっちゃ気に入ったって。解説してくれってさ!」 「むっ!」 チェルキーが鼻を鳴らし、手についた白ワインソースをぬぐってコック帽を外す。 そのまま、スツールの上にあるメニューを手に取りながら、カウンター越しに足音高く客席に向かう。ヒールの音が軽快にフロアに響いた。 「この料理はですね、トマトの酸味を抑えて、香草を引き立てるドワーフ式の煮込み技法です。見た目以上に軽く、でもコクは……」 客が身を乗り出し、感嘆の声を上げる。 ──まるで舞台女優のように振る舞うその姿を、黒猫店長は後ろからニヤニヤと眺めていた。 「にゃふふふふ……ドワーフの美少女料理人なんていう逸材を、オレが見逃すわけないにゃ……」 横では、吹っ切れたチャーリーが尼僧姿でトレーを持って踊り歩き、ブロント少尉は眉間に皺を寄せながらオーダーを正確に管理。リリスはカウンターに頬杖をつき、チェルキーの説明に「へー」と相槌を打つ。 チェルキーは少しだけ頬を赤らめながら、胸を張って言った。 「……まあ。こうして注目を集めるのも、料理人冥利ってやつかもね」 黒海猫亭の夜は、今日も賑やかだった。

さかいきしお
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コメント (21)

思わず料理に目が行ってしまいますがw 島の自生トマトを使った煮込み料理かな~ドワーフ族の腕なら、きっと美味しいに違いないクマ🧸💕

2025/08/06 12:01
2025/08/06 05:50
2025/08/05 15:15
2025/08/05 14:39
2025/08/05 14:22
2025/08/05 13:55

時々チュンを見る目が狩人の目になってることを除けば,とても頼れる常識人のお姉さんチュン

2025/08/05 12:20
2025/08/05 11:48

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