アイピク島活2025:偽王との決戦
南国の密林に風が吹く。陽光を透かした木々の隙間から、汗ばむ空気と火薬の匂いが漂っていた。 巨大な魔獣の亡骸――いや、偽物の魔獣「キングペピーポス(仮)」が地面に崩れ落ちている。 その前で、ブロント少尉は堂々と片腕を掲げ、M60風の撮影用プロップガンを構え、全身に弾帯を巻きつけて勝利ポーズを決めていた。 「――我々によってこの島の平和は守られた!! 再び、この密林を魔の手には渡さん!!」 背後の横断幕には誇らしげに《アイピク島活2025》の文字。 そんな熱演の傍ら、草陰から汗をぬぐいながら現れた富士見軍曹が、盛大なため息と共に言った。 「……少尉、何、偽物の魔獣相手に、モデルガンでドヤってるんですか?」 「ふっ……これは演習ではない、“儀式”である。勝利の姿は、こうして語り継がれるのだ。リボンのごとき弾帯が、それを証明している!」 「それ、リボンじゃなくてただの予備弾のプロップですよ。しかも銃使ってないし……」 「否ッ!! これは“祝勝のドレス”!! 戦士の誇りを象徴する戦場の花束である!!」 「もうダメだ……暑さで本格的に来てるな……」 汗と熱気、そして謎のテンションが渦巻くアイピク島。 本日も、島の平和は確かに――少尉の妄想力によって守られていた。
