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翼への憧れはアイスと共に

「士官候補生諸君!」 滾るような気合と共に、風を切るような清廉で鋭い声が空気を裂く。 「諸君らがどの軍に配置されるかは未定だが、いずれにせよ――各軍種での連携は非常に重要だッ!」 整列した候補生たちに向けて、ブロント少尉の声が響き渡る。 「疑問点や質問、その他純粋な興味でもよい。この機会を逃がさぬように! ただし、空軍の皆様にご迷惑をおかけしないように心得よ!! わかれ!!」 「ハッ!」 その一糸乱れぬ反応に、視察対応中の空軍スタッフたちは思わず背筋を伸ばす。 そして、その姿を後方から見守っていた基地司令も、少しだけ口元を緩めた。 「少尉は飛行機や空軍に、どんな思い入れがあるのですかな?」 司令がやや和やかな口調で尋ねたとき、ブロント少尉は一瞬だけ視線を遠くへ向けた。 「――包囲され、全滅しかけた時……」 声色が、わずかに低くなる。 「上空を割って、空軍――もちろん、自衛軍ではなかったですが――が来てくれたんです。敵陣を爆撃して、避難ルートを開いてくれました。あの時、部下と隊長の命を……何度も救ってもらいました」 司令は言葉を挟まず、黙って頷く。 「……それ以来ですね。空を飛ぶ兵たちを、まるで神の使いのように見てます」 そして、不意に笑みが戻る。 「そういえば、海軍のパイロットさんを救助したこともあります。海に落ちてたのを、引き上げて、怪我してるのを抱えて逃げて――」 「ふむ。それはご苦労だった」 「隊に帰ったら、体重と同じ重さのアイスクリームを“部隊へのお礼”として送ってくれました」 「……それは……なかなか……粋な話だな」 司令は思わず小さく笑った。

さかいきしお

コメント (14)

早渚 凪
2025/04/15 14:33
Kinnoya
2025/04/14 15:21

さかいきしお

2025/04/14 17:12

うろんうろん -uron uron-
2025/04/14 14:51

さかいきしお

2025/04/14 17:12

なおたそ
2025/04/14 14:47

さかいきしお

2025/04/14 17:12

五月雨

少尉…わたしがガン〇ムだ!って、そのうち言い出しそうですわ!

2025/04/14 14:03

さかいきしお

わたしが戦車だ!

2025/04/14 17:11

みやび

ピンチの時に味方の爆撃機のエンジン音が聞こえたら頼もしいだろうな~

2025/04/14 13:31

さかいきしお

天使の羽音とも言われるね

2025/04/14 17:11

Yasuyuki Magic
2025/04/14 13:24

さかいきしお

2025/04/14 17:10

白雀(White sparrow)
2025/04/14 13:15

さかいきしお

2025/04/14 17:10

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