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大地の精霊王
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農村に、巨大な石の化け物が現れた。 「うわー、でかいぞ!!」 それは、巨大な岩の塊か、土くれを固めた巨大な像に見えた。 農村のはずれの森のあたりに突然湧き上がり、ずし、ずし、近づいてくる。 「大地の怒りだ!!」 「モンスターだ!!」 村人たちは逃げようとするのだが、モンスターが近づくたびに地響きを伴って揺れる大地は、立っていることもままならない。 と、そのとき、腰を抜かす人々をしり目にモンスターに向かう人影がある。 『大いなる、大地の精霊王ベヒモスよ。その怒りを収め地に安らぎをもたらせ」 ダークエルフの美女は、大地に手をついて祈りを捧げる。 巨大な岩石の怪物としか言いようがない、巨大なモンスターは動きを止める、 そして、その影がみるみるうちに小さくなった。 崩れ落ち、土くれと化したゴーレムの中から、小柄な人間に似た幼い少女が現れ、 その小さな人影を、アーゼリンはしっかりと抱きしめた。