1 / 29
エルフの戦士と野生のイチゴ狩り
ベリィフォーク村。 この村は、かつて森の奥で発見された珍しいイチゴ(ベリー)をきっかけに発展した歴史を持っている。 村の開祖となったエルフとドワーフたちは、初めて実った赤く輝くベリーの美味しさに感動し、 「この実を分け合いながら暮らす人々(Folk)」という意味を込めて村名を決めた。 その名の通り、村人たちは収穫やお祭りなど、ベリーを中心に助け合いながら暮らしている。 だが、今年の春は何かが違った。 村人たちは、赤く熟れたイチゴに怯えている。 そう、イチゴが、野生化して村を恐怖に陥れていたのだ――。 **登場人物:** - フレイラ=ベリィリーフ(主人公・エルフの戦士) - ガルド(相棒のドワーフ・斧使い) - 村の精鋭部隊(その他モブ) 「フレイラ、準備できてるか?」 「もちろんだよ!イチゴ狩りは戦場だよ。恋と一緒だな」 ガルドは目を細めて、ため息混じりに斧を磨く。 「お前、恋したことないだろ」 「うるさいな、戦士は想像力が命って先生も言ってたもん」 村の中央広場。精鋭部隊が集まる中、村長が真剣な表情で語る。 「みんな、今日こそ野生イチゴを退治して、この村に平和を取り戻そう!……コンデンスミルクの補給は忘れずにな」 ガルドが呆れ顔でフレイラのポーチを覗き込む。 「お前、なんで三本も持ってるんだよ」 「だって足りなくなったら困るじゃん!備えは大事だよ。恋と一緒だな」 「冗談、顔だけにしろよ」 **イチゴの森:** 森の中は昼なお暗く、湿った苔と枯葉の匂いが立ち込めている。 精鋭部隊がずんずん進むと、急に周囲がざわつき始めた。 「なんか、あやしい気配……」 フレイラが耳を澄ます。 「おい、囲まれてるぞ!」 ガルドが短い足をジタバタさせる。 現れたのは、ツヤツヤと赤い体に無数のタネをキラリと光らせたイチゴのモンスターたちだった。 「やっべ、あいつらの種、目が合ったらヤバいって噂だぜ!」 誰かが叫ぶ。 「イチゴ狩り開始だよ!恋と一緒だな」 フレイラが弓を構える。 しかし、イチゴたちの反撃は苛烈だった。 「いっけー、コンデンスミルク攻撃だ!」 イチゴがぴゅっとミルクを吐き出し、戦士たちを包み込む。 「あひゃひゃひゃ、戦士達のコンデンスミルク風味だぜ!」 イチゴたちは倒れた戦士をパクリと食べていく。 「みんな…!」 フレイラが叫ぶが、精鋭部隊は一人、また一人と消えていく。 「フレイラ、俺に構うな!お前だけでも逃げろ!」 ガルドが斧でイチゴをなぎ払いながら叫ぶ。 だが、ガルドもついにミルクまみれにされてイチゴに食べられてしまった。 「ガルド!お前の死は無駄にしない!」 フレイラの声が森に虚しく響く。 **逆転:** だが――フレイラは諦めなかった。 「イチゴは戦場だよ。恋と一緒だな…!」 彼女は最後のコンデンスミルクを大空にぶちまけ、弓矢に火を灯す。 「必殺!ベリィ・フィニッシュ・アロー!」 放たれた矢がイチゴの親玉に突き刺さり、激しい爆発とともにイチゴたちは泡のように消えていった。 「……やった、やったよガルド!これで村は平和だ!」 **エピローグ:** 「――っていうのを想像してたんだけど、違うんだね、イチゴ狩りって」 「普通はもっと平和に摘むもんなんだよ」 ガルドが額の汗を拭う。 「まあ、でも戦場も恋も、イチゴも、油断は禁物だね!」 「冗談、顔だけにしろよ」 遥かなるベリィフォーク村。 朝露に濡れる野原を淡く照らす、真白き雲と無窮の青空。 イチゴの葉はそよ風に揺れ、消えゆく恐怖と新たな希望を草花たちが静かにささやく。 大地と空の狭間、彼女たちの足跡は、やがて物語となり永遠に残るでしょう。 忘れじのイチゴ狩りの伝説が、今日も村の空に、柔らかな光となって漂うのです――。 ---- BGM:ストロベリーフィールズフォーエバー/ビートルズ ビートルズでは基本ポール派ですがジョンの曲の中では好きな曲です。