エルフ、推しを追いかけ月へ行く
「ねえギムレット、あのお星さまの向こうには、何があるのかな?」
幼いステラが尖った耳をぴくぴくさせながら、隣に座るドワーフの少年の顔を覗き込んだ。
「そりゃあ、もっとでっかい星とか、燃えるガスの塊とかだろ。俺は行ってみたい。宇宙船を作って、あの月まで飛んでいくんだ」
ギムレットと呼ばれた少年は、がっしりとした腕で夜空を指さした。その瞳は、満天の星々よりも強く輝いていた。
ステラはきらきらした目でギムレットを見つめ、こくんと頷いた。
「うん!私も行く!ギムレットと一緒に行く!」
それが、遠い昔の約束。
――そして現在。