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ミリシラ様の異世界百景その7「ダークエルフの森(後編)」
地球の皆の者、こんクエスト~!!全知全能の大賢者「ミリシラ・シッタカブール」様じゃぞ~!前回の続きで、ダークエルフの森に着いたので映像のお届けを再開するぞ! まあ、見ての通り不気味で暗い森じゃ。まだ夕方じゃが、もう夜と言ってもいいレベルの暗さで、気の弱い子供は泣いちゃうかもしれんのう。エルフの住まう土地のため、山のあちこちは魔力溜まりが出来ており薄ぼんやりと光る地面もあるので、なお一層ただの森ではない雰囲気マシマシじゃな。狂暴な魔獣も生息しておるが、ワシがさっきから威圧の魔力をバシバシまき散らしておるがゆえに魔獣どももビビり散らかして近寄っては来んようじゃ。 あ、ちなみにダークエルフ達には山に入る段階で早速見つかったわい。変装しとったんじゃが、すぐバレた。よく考えたら、ワシそもそも世界で三本の指に入る大賢者で魔法界隈では超有名人じゃった。だから、世俗に疎いダークエルフにも顔が割れとったんじゃ。「里に宿を用意しておくから後でぜひお立ち寄りください」とまで気を使われる始末よ。まあ、トラブルにならんなら何でも良いんじゃがな。 よし、魔法石はこんなもんでいいじゃろ。上質なものが手に入ったわい。魔法石は鉱石じゃから、鉱脈から採取できると思っておる者が多いが、そうとは限らんのじゃ。要は土地の魔力が結晶化したものじゃからな、魔力の豊富な土地に育つ樹木が大地の魔力を吸い上げれば、果実のように実るって訳じゃよ。さて、そろそろダークエルフ達の里に出向くとするかの。山奥にある里じゃから、温泉も湧いておるというんじゃよ。今日は歩き詰めでくたびれたからゆっくりしたいもんじゃな~。もう変装も解いてしまうか。 ・・・ふぃ~、極楽じゃあ~♥まさか里長の家に泊めてくれるとは大歓迎じゃのう。有名で良かったわい。しかし里長め、こんないい温泉を自宅に持っておるとはなんて贅沢な奴じゃ。惜しいのう、奴がダークエルフ族じゃなければ『山を整備して観光地にしてはどうか』なんて提案して、気軽に温泉旅行に来れるようにできたのにの~。まあ仕方ないか、ダークエルフがよそ者を泊める事自体もはや奇跡じゃからな。こんな温泉独り占めで入れる事に感謝せんとな~。 ・・・ん?何か忘れておるような・・・。何じゃ、何か大事な・・・ああっ!?ち、地球人たち!映像を切るの忘れておった!?み、見られたのじゃ!?ワシの入浴シーン見られたのじゃー!?・・・お、おのれぇ~!こうなったら、ワシの真の姿で地球人たちの記憶を全て消し飛ばしてくれようぞ!ハァッ!! さあ地球人、覚悟は良いな・・・?今お主らの記憶を・・・あ。い、いかん。感情が高ぶりすぎて魔力のコントロールが・・・!まずい、このままでは地球人の記憶の前に里が吹き飛ぶ!とりあえずどこか遠くに大魔法をぶっ放して暴走を防がねば!うおりゃ~!! まずいことになったのう・・・里から遠く離れたところとは言え、滅茶苦茶山火事になっておるわい・・・。ワシも消火活動しにいかねばならんな。おい地球人たち、ワシの裸は記憶から消しておくんじゃぞ!忘れろー、忘れろー、忘れろビームッ!!なのじゃ! 見てくれてありがとうなのじゃ、おつカブール~!! あっ、見てくれてありがとうっていうのは入浴シーンの事じゃないんじゃからな!?ワシそんな痴女じゃないんじゃぞ!?絶対に忘れておくんじゃぞ~!!