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【チャイナ服】邂逅セシ罪ト裁刃
●SIDE:サイバ 「今日みたいな暑い日は、大きなお風呂で気持ち良く汗を流しませんか~?このチラシに入浴代金100円引きクーポンついていますよ~」 「わー!可愛い男の子がチャイナドレス着てチラシ配ってる~!一枚ちょーだい!」 「私も~!」 ・・・今日の僕は、美結ちゃんの実家の銭湯の宣伝をお手伝いしている。何でチャイナ服なのかと言うと、僕と一緒に手伝いを名乗り出た獅子島さんのせい。彼女が色々とコスプレ衣装を持ってきて、これで配ろうと言い出したんだ。 「はさみん、バニーガールの服着てチラシ配ろうよ!ちょっともっこりしちゃうだろうけど、絶対集客力抜群だからさぁ!」 「絶対やだよ!それならせめて美結ちゃんと同じチャイナ服着るよ!」 「・・・獅子島さん、そのバニー衣装は胸のカップが大きすぎて、羽佐美君や私には着られないよ?だから消去法で獅子島さんが着て、ね?」 「マジかよぉ!バネちゃん連れてくるべきだったぁ~!」 なんてやり取りがあって、僕と美結ちゃんはチャイナ、獅子島さんはバニーで手分けしてクーポン付きチラシを配っている。僕は商店街の中でも、女子高生が好みそうなお店の近くを重点的に巡回している。小学生の時ほどじゃないけど、僕は年上の女の人に狙われやすいからそれを逆手に取ろうと思ったんだ。中学生になった今なら、多分レイプされる事もそうそうないはず・・・ないはず、だよね? 「私も一枚くださーい」 「はーい!どうぞ、お姉さん♪」 僕の持つチラシは、何とか順調に数を減らしている。獅子島さんもぐいぐい行くタイプだから多分順調に配ってるはず。引っ込み思案な美結ちゃんがちゃんとチラシ配りを出来てるかはちょっと不安だけど・・・。 「・・・って、わぁっ!?」 急に突風が吹いて、持っていたチラシが風にさらわれてしまった。いけない、回収しないと! 「集えッ!宵闇(やみ)の疾風(かぜ)よッ!!」 「えっ!?」 唐突に叫び声がしたかと思うと、鋭く空中に跳びあがる人影が。チラシを鮮やかに空中でキャッチして、かっこよく着地した。 「疾風(かぜ)は我が友、この程度は造作もない」 その人はニヒルに笑って、僕にチラシを差し出してくる。 「大切なものは決して手放すな。魂の鎖で繋ぎ留めておかなければ、砂の如くすぐに指の隙間より零れ落ちてゆくぞ。そしてその多くは、二度とは取り戻せないのだ」 「あ・・・ありがとう。もしよかったら、そのチラシあげます。そこに書いてある銭湯の入浴料が100円引きになりますよ」 「ほう。ならばむしろ、我が手に渡ったのは宿命(さだめ)だったと言うのか。面白い、この巡り合わせがどのような未来(こたえ)をもたらすのか、しかとこの目で見届けてやる」 変わった喋り方をする人だ。なんだっけ、厨二病・・・でいいのかな。よく見ると、歳も近そう。 「えっと・・・中学生、ですか?」 「この世界の規律(ルール)に則るならば、そう呼ばれるだろう。中学二年生。この我にはふさわしくない、平穏な肩書だ。それもまた一興だがな」 「あっ、同学年なんだ!でも、僕は君を見た事が無いような気がするけど」 「我は流浪の風、運命の旅人。移ろいゆく日々に過る一筋の影にして、春を告げる渡り鳥」 どうしよう。本格的に何を言ってるか分かんない。僕がどう返そうか困っていると、彼は腕時計型デバイスを起動した。 「MAME(マメ)よ、今の我が言葉をかの者に分かるよう翻訳してやれ」 「あっ、最新AIデバイス『MAME(マメ)』持ってるんだ!」 金剛院グループが発表した『MAME』は、とても高性能なAIを搭載したデバイス。今はスマホの代わりにこっちを持ってる人もいるくらい、多機能で頭がいい。 「ピピー。ただいまのシン様の言葉を翻訳します。『親の都合で、この春からこの町に引っ越してきたんだ。新学期から転校生として君と同じ学校に通うかもしれない』です」 「うわぁ、MAMEすごいなぁ」 なんであれを意味が分かる日本語に出来るんだろう。どういう学習したらこんなAIが出来るのか、MAMEの大元になったデータがすっごい気になる。 「えっと、シン君?僕は羽佐美サイバだよ、よろしくね♪」 「サイバ・・・?彩の葉、とでも書くのか?」 「ううん、裁きの刃って書いてサイバだよ」 「Klinge des Urteils(クリンゲ・デス・ウアタイルス)だとッ・・・!?」 くり・・・何語? 「フッ、我が真名は罪を意味する『シン』。この世における仮初の名は『江波七罪(えば なつみ)』だ。そして貴様は罪を断ち切る裁きの刃というわけか・・・まさに運命と言えよう」 うーん、分かりにくいけど七罪君はシンって名乗りたいのかな。じゃあそう呼んであげよう。あだ名みたいなものだろうし。 「ふふ、確かに運命的かもね。じゃあシン君、また会えたらその時は宜しくね♪」 「フッ、運命の歯車は廻り始めたのだ。望む望まないに関わらず、我々は再び巡り合うさ」 最後まで厨二病を貫いたまま、シン君は行ってしまった。と、その時美結ちゃんから電話が。 「あ、羽佐美君?ちょっと今から言うところに来て欲しいの。あのね、獅子島さんがバニーガールの格好で飲み屋街で『気持ち良いお風呂はどうですかぁ?』って宣伝してたのが警察に見つかってすっごい怒られてて・・・フォローしてあげて欲しいの」 「何してんの獅子島さんは・・・」 いくら昼間とは言え、場所と自分の格好と宣伝文句は考えようよ。そりゃあ補導されるよ。 「分かった、場所どこ?」 「えっとね・・・」 僕は美結ちゃんから教えてもらった場所に急ぐのだった・・・。 ●SIDE:七罪 「ここか・・・」 一度帰宅してから準備を整え、やって来たのはチラシ通りの名前と所在地の銭湯。せっかくもらったものだ、これもまた運命。扉をくぐり、チラシと入浴料を番頭に差し出す。暖簾をくぐり、脱衣所に入った。客入りはそこまででもなく、落ち着いて入浴できそうだ。 「フッ、しかし『裁きの刃』か・・・女子にしては随分と厳めしい名前だな」 一人ごち、脱衣所で上着を脱ぐ。今日は暑かったから、スポブラの中も汗で蒸れている。 「我が盟友(とも)になってくれるだろうか・・・いや、してみせるさ」 女湯へ続くすりガラス戸を引きながら、新生活への決意を口にする。呟きは誰の耳にも届かぬまま虚空へ消えた。
わーい、ぴくたーちゃんだよ! この画像、かわいい金髪の女の子がチャイナドレスみたいな服着て、街中で紙持ってるの! 表情がにこにこで目がキラキラしてて、超キュート! 背景のビルとか看板も細かくて、青い空
