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【封筒】好意と悪意
「あれ?」 下校しようと、昇降口の靴箱の前に立った僕。でも僕は、自分の靴の上に一通の封筒が置かれているのを見つけた。可愛らしいハートのシールで封がしてある。これって、もしかしてラブレター? 「ほほぅ、スミに置けませんな~?」 「!?」 いつの間にか僕の後ろに獅子島さんが立っていた。彼女とは同じクラスだから下駄箱も近い。だから僕の近くにいても不思議じゃ無いんだけど。 「はさみん、それ読まないの?」 「あ、後で一人で読むよ」 僕はそう言ったんだけど、獅子島さんはゴネてきた。 「ええ~?今から教室行って読もうよ。もし『今日の放課後、待ってます』とかだったら、家に帰ってから読んだんじゃ時間切れじゃん」 「う」 一理ある。う~ん、しょうがない。教室に戻ろうか。 「ん?どしたお前ら、帰らねぇの?」 「あ、バネちゃん。はさみんがラブレター貰ったからさぁ、これから教室で開封式すんの♪」 「えっ!?何で獅子島さんにも見せる事になってるの!?」 これを書いた子からしたら、普通に恥ずかしいと思うんだけど。 「ふーん、まぁヒマだしアタシも行こっかな」 「よし決まった。ほれはさみん、急いで急いで」 「僕の疑問に答えてよぉ!」 僕の意見も空しく、二人に左右から挟まれて教室に連行された。教室では美結ちゃんが一人本を読んでいたけど、僕らに気付いて視線を向けてくる。 「あれ、羽佐美君?獅子島さんと赤羽さんも、何かあったの?」 「サイバがラブレター貰ったから、みんなで見ようぜって話らしいわ」 「みんなで見ようぜとは言って無いんだよ。僕一人で読むつもりなの」 「はさみんケチだなー、じゃあラブレターかオナニーどっちか見せてって言ったら?」 「どっちも見せないよ!獅子島さんのえっち!」 結局、最終的にはとりあえず僕が開封して読むことになった。その後文面を三人から守れるかは僕次第。僕は封をしているハートシールを剥がし、封筒の口を開けた。 「痛っ!」 少しして、指先に鋭い痛みが走った。うっかり封筒と便箋を取り落とす。痛んだところを見ると、指が切れて出血していた。 「はさみん!」 獅子島さんが僕の指を素早く口に含んで、舌で血を舐め取ってくれた。ずきずきする痛みが多少はマシになった気がする。赤羽さんが慎重に封筒を取り上げた。 「これ、封筒のフラップの縁にカッターの替刃が貼ってあるぜ。しかも9mm幅の黒刃。完全に嫌がらせじゃねぇか」 それ、切れ味に特化した方の替刃じゃん。だから切れた瞬間は何ともなくて、少し遅れて痛みがあったんだ。 「な、中身は何て書いてあるかな・・・?」 美結ちゃんが放り出された便箋を取り、文面が見えるように机に置いた。 『いつも女子にちやほやされていい気になってるお前に罰を与えてやる。身の程をわきまえろ。お前なんかがこの世に生まれてきたのを悪い事だと自覚しろ。恥を知れ』 シャープペンで書いた手書きの文面で、差出人の名前は無かった。でも手書きだからこそ、差出人が分からなくても明確に悪意が伝わってきた。獅子島さんが僕の指から口を離して、絆創膏を巻いてくれた。 「なにこれ、単純に僻みじゃんね!はさみんと違ってモテない奴が書いたの丸わかり!ムカつく~!」 「つか、やりすぎだろ。これ普通に傷害罪じゃね?」 「中学生にもなって、こんな事されるとは思わなかったなぁ」 小学生時代はシンプルに叩かれたり蹴られたりがあったけど、こういう陰湿なのは私物を隠されるくらいで、結構少なかった。中学生にもなると、悪意の表現がこんな風に変わるんだなぁ。 「・・・獅子島さん、赤羽さん。わたしちょっと、図書室で犯人捜してくるね。手伝って欲しいな」 美結ちゃんが静かにそう言った。獅子島さんと赤羽さんは「え?」という顔をしている。 「うちの学校、図書室を利用するしないに関わらず貸し出しカード作らされるでしょ?名前欄は手書きだから、筆跡が同じ人を見つけられるかも」 「いや、それだけじゃ見つかんねーだろ」 「もちろん、これは絞り込むための要素の一つだよ?これで何人かに目星をつけて、後はそれぞれの人の素行を聞き込むの。こういう事を考える人って、大体普段から様子がおかしいから」 「ん、私はみゅーたん手伝うよ。バネちゃんも行こ?」 「あ、羽佐美君はお手伝いしなくていいからね?」 女子三人の間で、どんどん話がまとまっていく。美結ちゃん、かなり怒ってる。多分、僕の生まれの事を知ってるから余計に。僕が生まれてきたのってお父さんには絶対望まれて無かったし・・・。 「音無、これって封筒とかを証拠として警察に出すんじゃダメなのか?」 「相手も中学生の可能性が高いから、この被害だと多分実刑は無理かな。でも、羽佐美君の指と心を傷つけた人に、注意とかで終わらせるの、ヌルいよね?そんな程度の罰で済ませるとか、許されるわけないよね?法的な罰より重い仕打ちがいると思うの。今後の学校生活ぜ~んぶ、学校の全員から白い目で見られるようになってもらうとか・・・ね?」 「おおぅ・・・みゅーたんがガチギレだぁ・・・」 後日、犯人の顔写真と名前付きになって、あの封筒と便箋が掲示板に張り出された。教師がすぐ回収したけど、何人も写真撮ってたからもう学校中に広まってる。犯人は同じ学年の男子で、僕が獅子島さん達女子と仲がいいのが癇に障ってたんだって。謝りに来たから僕は許したけど、多分美結ちゃんが言った通り、今後周囲からはやべーやつ認定されて過ごすんだろうなぁ。 美結ちゃんは宣言通り、貸し出しカードの名前欄を見て筆跡が似ている人間をピックして、普段の素行はもちろん当日のアリバイや下駄箱周辺での目撃情報、近くでカッターの刃やハートのシール、封筒、便箋を売っているお店にまで聞き込んで確定させたらしい。実際本人が謝りに来たんだから、ばっちり特定できてたって事になる。 「羽佐美君が許したなら、わたしはもうこれ以上は蒸し返さないけど・・・何かわたしで力になれる事があったら、これからもいくらでも言ってね?」 「うん、ありがとう美結ちゃん」 美結ちゃんって普段は大人しいけど、やる時は本当に思い切りがいいんだよね。というか、友達があまりいないからなのか、僕に対する感情が重い気がする。 僕以外とももっと仲良くなってもらいたいし、これからも獅子島さんや赤羽さんも誘って、みんなで一緒の時間を増やしていくようにしよう。 ※生成情報は🍌Proで背景ブラッシュアップする前のものです。
わーい!この画像、とってもかわいい女の子が手紙を持ってびっくりしてるシーンだね!ぴくたーちゃん、すっごくキュンとしたよ~。学校の靴箱みたいな背景がリアルで、柔らかい光が全体を優しく包んでる感じがいいよ
