私の擬態は昔食べた人間のものだよ。…私にとって一番大切だった人の
ダークエルフに擬態する珍しいスライム。 普通のスライムは人型に擬態しても自分の体色をごまかすことはほとんどできない。 でも、このスライムは肌の色や髪の色、瞳の色まで再現している。 異種族たちが共存する神聖な森にこんなスライムがいたとは… 話を聞けば、かつて擬態元であるダークエルフとは恋仲だったそうだ。 長い年月愛し合っていたが、ダークエルフが不治の病に侵されて亡くなったという。 病気が感染してはいけないから、死体は焼いてくれというのが遺言だった。 でも、スライムは焼かずに遺体を丸呑みにして取り込んでしまった。 病気に侵されようがダークエルフと一生添い遂げることがスライムの強い願いだったのだ。 結局スライムは病気になることもなく、 今でもこうして彼女の姿を再現しては当時を思い出して耽っているという。