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【シスター】シスター×シスター
『シスターを題材にしたスナップが欲しい』と雑誌社に言われましたので、玄葉にモデルを頼みました。なにせ急な依頼で、締め切りが私の所に話が来てからわずか3時間後という滅茶苦茶な話だったので、本職の修道女さん達や他の知り合いの女の子に声かける時間が無かったのです。そこで自宅にあった服をそれっぽく仕立てて玄葉に着せて撮影するというとんでもない強行軍でこの撮影は行われました。 「お兄、断ればよかったのに。流石に無茶じゃない?服もロケーションもモデルもありあわせとか」 「できそうだったからね。できるだけオファーには応えたいし。それに、服とロケーションはありあわせでも、モデルは最高だから。可愛いよ玄葉」 「すぐそういう事言う・・・お兄はなんなの?女の子を口説いてないと死んじゃう生き物なの?」 そんなつもりじゃないんですけどね。妹が可愛いなんて当たり前なのに。とりあえず、私は玄葉を褒めながら写真を撮っていきました。 「いいよ~ちょっと恥ずかしそうな表情が奥ゆかしい感じでバッチリだね。じゃあ一枚脱いでみようか」 「さりげなく脱がそうとするな!これ脱いだら下着見えちゃうでしょ!」 バレた。グラビア撮影みたいな声掛けで脱がす作戦失敗。 「まあ一枚脱いでみようかは冗談だけどね」 「撮影中のお兄が言うと本当に脱がなきゃダメかもって思うでしょ。他の女の子にそういう事しちゃダメだからね?」 どうだろう・・・つい口が滑るかも知れない。まあ、仕事でもないのに本当に脱ぐ女の子なんてそうそういませんから、口が滑ったところで大事には至らないでしょう。 「あれ?ていうかそれ脱いだら下着が見えるって事は、ショートパンツとか履いてないの?」 「急だったから履いてない。ほら」 玄葉がそっと上着の裾をめくって、グレーのパンティを見せてくれました。すかさず一枚。 「撮っていいとは言ってない!」 「見せてほしいとも言ってない」 一緒にお風呂に入った仲でも、やっぱり恥ずかしいのは恥ずかしいのか。 「あのね、お風呂に入った時はそりゃ着てないんだから見えるのは当然だけど!普通の服の時だと見せるつもりじゃないのに見られるっていうのがこう、なんていうか別物なの!」 「自分でめくっておいて見せるつもりなかったは通用しないでしょ・・・」 そう呟いた私の目に、何かが直撃。すっごい沁みる。 「ぎゃああああーーーーーっ!!!」 たまらず目を押さえてじたばたする私。そして持っていたカメラは、足の小指に落ちた。 「いっ・・・!」 目も足の指も痛い。神様、私が何をしたって言うんだ。 「いい気味ね」 涙でぼやけた視界の中に、塩の瓶を持った玄葉の姿。このやたら沁みるの塩か!ちょっと幽魅の気持ちが分かったかも。 「あっ、ていうかカメラ無事かな!?」 「お兄の足がクッションになったから壊れてはなさそうに見えるけど」 目に入った塩をぬぐって、カメラを確認しますが機械もデータもちゃんと無事でした。良かった。 「・・・ねぇお兄、ちょっと聞きたかったんだけど。今私の下着撮ったでしょ」 「撮ったねぇ」 「・・・お兄って、仕事関係ないところで結構色んな女の人の下着写真持ってない?」 「えっ、そうかな。・・・そうかも。ええと、瑞葵ちゃんと向日葵ちゃんと桃宮ちゃんとシリアちゃんと玄葉と晶さんと花梨さんと橙臣ちゃんとコマメちゃん、あとは写真には写らないけど幽魅の下着姿も見てるかな」 「多い多い多い!おかしいでしょ!仕事でもないのにそれは異常だって気付いて!」 9人。幽魅含めれば10人。確かに多いかも。しかも全員恋人じゃないし。 「お兄その写真何のために持ってるの!?ま、まさかそれ使ってるの・・・?」 「いや、使ってないけど・・・なんかもったいなくて捨てたり消したりできないよねー」 「同意求めんな!もう、本当にドスケベ野郎なんだから!」 玄葉は怒って部屋に帰ってしまいました。そうは言われても、撮れちゃったものはしょうがないじゃん。・・・反省してないな、私。 その後、締め切りまでにデータを渡せた私は大変感謝されました。担当者からは 「いやあ、流石は早渚さんです。妹を題材にしたスナップ写真ってお願いだったのに、そこに修道女を絡めてくるなんて洒落が効いてますね」 なんて言われてしまいました。・・・えっ、妹?シスターってそういう・・・。危なかった、逆に玄葉以外に頼んでたら駄目だったかも知れない。次からは急な依頼でもちゃんとどういう題材なのか確認しておかないと。