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燃える闘魂

17

2025年02月26日 16時10分
使用モデル名:CustomModel(その他)
対象年齢:軽度な性的、流血描写あり
スタイル:リアル
デイリー入賞 114
参加お題:

漆黒の微笑に宿る衝撃的内なる鼓動 エルフの里、シーフォレスト。その奥まった場所に、妙な噂を耳にした者たちが集まる広場があった。そこで誰もが口にする名前が「ヴィンタシア」。小柄ながらもしなやかな肢体を持つエルフの女戦士で、得意技は「闘魂注入ビンタ」。本当に闘魂が注入されるのか、それともただの激しい平手打ちなのか――噂を聞いた旅人たちが不安そうに囁き合うも、真相を知る者はいない。 ある日の朝、ヴィンタシアは村の広場でむくれ顔をしていた。傍らにはドワーフの相棒・ゴルゴネスがいるが、仲は悪いらしく、視線すら合わせようとしない。ゴルゴネスが言う。 「おいヴィンタシア、今日こそは山の鉱夫仕事に手を貸してくれ。あんた、ここんところ自分勝手にビンタ修行ばっかりじゃないか」  ヴィンタシアは髪をかき上げながら澄まして答える。 「ふーん? 私がビンタを極めれば、もっと元気が湧いてくるって話よ。元気があれば何でも出来るんだから、手伝いなんてあとあと」 「んなこと言って、実際は面倒なんだろ?」 「……冗談、顔だけにしろよ」  不満そうなゴルゴネスの背中を、ヴィンタシアはパシッと軽く叩いた。しかしその叩き方すらエルフらしからぬパワーが感じられ、ゴルゴネスは軽くよろめく。 するとそこへ突然、筋骨隆々の男が現れた。名前を聞けばビンタの達人「アントニオ」。世界各地で巡業し、その平手ひとつで猛獣さえ大人しくさせたという伝説まであるらしい。黒髪を短く刈り込み、いつでもビンタを繰り出せるよう手をひらひら動かす姿は威圧感に満ちていた。 「元気ですか!?、俺はアントニオ。ここに“闘魂注入ビンタ”を使うエルフがいるって聞いてな。手合わせ願いたい」  ヴィンタシアは目を輝かせる。自分以外にもビンタを極めし者が存在するとは思わなかったからだ。 「私のビンタだって負けはしないわ。元気があれば何でも出来るんだから」  アントニオはにやりと笑う。 「そう来なくちゃな。ずいぶんと傲慢なお嬢さんみたいだが、まあ腕前は見てから評価してやるよ」 二人のビンタ対決は、あっという間に村中の注目を集めることに。広場の中央に特設された台に上がったヴィンタシアとアントニオが向かい合う。周囲のエルフたちは期待を込めた視線を送り、ゴルゴネスは渋い顔でそれを眺めていた。 「なんであんな危なっかしい勝負に首突っ込むんだか……」  何やら気に食わない様子のゴルゴネスだったが、ヴィンタシアは気にする素振りもない。観衆の中から声が飛ぶ。 「始めろー! 闘魂を注入してくれー!」 ヴィンタシアは軽やかな足どりで台の中心へ進むと、アントニオに視線を据える。彼女は深呼吸をしながら、ゆっくりと右手の平を広げた。頬に当てられた瞬間、相手のやる気を呼び起こすという不思議なビンタ――それこそが「闘魂注入ビンタ」。しかし真偽はまだ不明。アントニオはそのビンタを一度生で見てみたいのだという。 「そっちが先に打ってこい。拝んでやるからさ」 「言ったわね? 手加減なんてしないから。ビンタは希望だよ。恋と一緒だな」  と、どこか浮かれた調子でヴィンタシアが口癖をこぼした。逆にアントニオは驚いた顔をする。 「お、おう……?」 そしてヴィンタシアの右手が横に大きく振りかぶられた。いざ振り下ろされると、その一撃は風を切る音を立ててアントニオの頬へとめり込む。ビシィッという響きと同時に、小柄なエルフが放ったとは思えない衝撃が広場に走り、観衆からは絶叫とも歓声ともつかない声が上がる。  アントニオは一歩後退したものの、踏みとどまって首を回すように体勢を立て直した。気を失うほどのダメージはなさそうだが、その目は今までにないほど輝いている。 「ははっ、これは面白い……! 今まで食らったことのない衝撃だ。しかしいいね、胸の奥に熱いものが込み上げてきたぜ」  ヴィンタシアは誇らしげに胸を張り、 「それが私の“闘魂注入ビンタ”。どう? 元気出てきたでしょう?」  と笑みを浮かべる。アントニオは大きく息を吐きながら、今度は自分の番だと言わんばかりに右手を構えた。 しかし、その瞬間にゴルゴネスが口を挟む。 「おい、そもそもこの台って何だ? お前たち、この村を破壊するんじゃないだろうな」  アントニオは言い返すでもなく、すっとゴルゴネスに目を向ける。 「大丈夫だ、おれはわきまえてる。力の使いどころは心得てるさ。だが、お前の相棒……なかなか面白い女だな」  ゴルゴネスは渋面をさらに深くしたあと、一言だけ口を尖らせて答えた。 「ビンタバカなのさ、あいつは」  ヴィンタシアは容赦なくにらみ返す。 「誰がバカですって? いっぺんビンタしてあげようか?」  ゴルゴネスは少し前へ出るが、アントニオが片手で制した。 「待ってくれ。おれとそいつの勝負はまだ終わっちゃいないんだ」 アントニオは呼吸を整えると、一拍おいてからヴィンタシアに向けてビンタの構えを取る。その腕には磨き上げられた筋肉と、旅で培われた熟練の妙技が宿っている。その手のひらが振り抜かれた瞬間、ヴィンタシアは僅かに体をずらした。かろうじてまともに食らわない位置へ移動したのだ。だが、彼女の右頬を風がかすめるように強烈な衝撃が走り、思わずバランスを崩しかける。 「うわっ……! やるじゃないの、アントニオ!」  アントニオは満足げに笑う。 「おまえもなかなかだ。こんな手応えのある相手は久しぶりだぜ」 二人の応酬に観衆は大喜び。あちこちで拍手や喝采が巻き起こる。やがて、何度か往復でビンタをかわし合い、わずかながら両者とも頬が赤く染まってきたころ、アントニオは手を下ろした。 「楽しかったぜ。おまえのビンタには、不思議と元気が湧いてくる。たしかに“闘魂注入”と呼ぶにふさわしいかもしれないな」  ヴィンタシアはいたずらな笑みを浮かべ、 「でしょ? まあこれで私の勝利ってことでいいかしら?」 「勝敗なんて、もはやどうでもいい。おれは十分に“注入”されちまったみたいだ」  アントニオが大笑いすると、ゴルゴネスはむっつり顔をしながら肩をすくめる。 「勝手なやつらだな」 その後、ヴィンタシアはアントニオに勝利のビンタ(と彼女は呼んでいる)を存分に披露しつつ、村の人々に闘魂を伝授すると意気込んだ。ゴルゴネスは村人のためというよりも、無茶ばかりする彼女のブレーキ役として仕方なくそばについて回る。一方、アントニオは各地をめぐる旅の予定があるらしく、村を出る準備を進めていた。しかし去り際に、彼はこんな言葉を残していく。 「おれもまだまだ成長したい。いつかまた会おう、ヴィンタシア。おまえのビンタ、なかなかクセになりそうだ」 アントニオが去り、再び静けさを取り戻したシーフォレストの村。しかしヴィンタシアのビンタ騒動は、まだまだ終わる気配を見せない。今日も彼女の自分勝手さを押し通しながら、誰かに無理やりビンタをお見舞いしては「ほら、元気が湧いてきたでしょ?」と笑うのだ。ゴルゴネスとケンカしようが何しようが、ヴィンタシアのパワーは減るところを知らない。元気があれば何でも出来る――それこそが、彼女の信条なのだから。 ここは穏やかな陽光が照らす高台の頂。ふと見上げれば、空を奔る雲はまるで優雅

コメント (3)

ガボドゲ
2025/03/01 14:04
うろんうろん -uron uron-
2025/02/27 13:21

Epimētheus

2025/02/28 02:25

Jutaro009
2025/02/27 00:04

Epimētheus

2025/02/28 02:25

182

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いいねコメントありがとうございます。忙しくなって活動を縮小しています。返せなかったらすみません。

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