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魔法図書館の少女

日も差さないほど鬱蒼とした森を、魔物の群れから逃げていたら、 唐突に小さな館が現れた。 妖しい雰囲気を感じ取ったが、 私は魔物の群れから隠れるためにその館に入った。 するとどうだろう。 館の中は、外からは想像もできないほど巨大な図書館ではないか。 明らかに館の外見から不釣り合いな高さの書棚に好奇心が突き動かされ、 後先考えず先に進むと、更に驚いたことに、 年端も行かない少女がいたのだ。 ただの少女ではない。 その髪は月光を束ねたような白銀で、瞳は曙光を映したような黄金。 肌は宵闇に紛れる褐色だが、衣服は朝日のようにまばゆい。 私は直観的に彼女が尋常ならざるものだとわかった。 「あなた誰・・・?」 その言葉が自分に投げかけられたものだと理解するのに時間を要した。 「もしかして『呼ばれた』の?」 情けないことに、赤子のように何も発することができなかった。 ――ある旅人の手記

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