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偵察対象:銀色施設
おんぼろのジープは、川べりの土手に身を低くして停車していた。 エンジンは切られ、四人は静かに対岸を観察している。 ブロント少尉は運転席で双眼鏡を構えた。 呼吸を整え、像を安定させる。 視界に入るのは、陽光を反射して銀色に輝く施設。 骨組みは規則的で、妙に整然としている。 「反射率が高すぎます」 後部座席の若菜少尉が低く言った。 「民生施設にしては……目立ちすぎますね」 「偽装の可能性があります」 リゼット少佐はスマートグラスを指で押し上げる。 「用途不明。警戒すべき対象です」 「……少尉、後ろ」 助手席の富士見軍曹が短く告げた。 ブロント少尉は双眼鏡を下ろし、振り返る。 ジープの背後。 草に半分埋もれた、色あせた看板。 🍓 イチゴ狩り この先 500m 沈黙。 「……」 再び双眼鏡で施設を見る。 もう一度、看板を見る。 「銀色に光る怪しげな施設の正体は?」 若菜少尉が、真面目な声で問いかける。 ブロント少尉は即答した。 「罠……でしょうか」 富士見軍曹は、必死で耐えた。 ――数分後。 四人は、ビニールハウスの中にいた。 透明な天井の下、赤く熟したいちごが整然と並んでいる。 甘い香りが漂っていた。 「味覚確認を行います」 ブロント少尉の声は、いつも通り淡々としている。 四人は黙っていちごを口に運んだ。 ブロント少尉は一口で止め、評価する。 若菜少尉は数値に置き換える。 リゼット少佐は静かに頷く。 「糖度は高めですね」 「鮮度も良好です」 「補給資材として……優秀です」 その横で、富士見軍曹はげんなりした顔のまま噛みしめた。 「……任務だから食べてますからね」 そう言いながら、口元だけが少し緩んでいる。 やがて、直売所のカウンター前。 ブロント少尉は、いちごのパックを両手で持ち、真剣な表情で選別していた。 角度を変え、粒の揃いを確認し、静かに頷く。 「これは」 一同が注目する。 「研究資材として、持ち帰る必要があります」 断定だった。 「……お土産、ですよね」 富士見軍曹が、かろうじて声を絞り出す。 「違います」 即答。 「比較検証用です」 ブロント少尉は、きっちり二パックをカゴに入れた。 富士見軍曹は、ついに口元を押さえた。 春の偵察任務は、 報告書の末尾に“研究資材:いちご”という一文を残して終了した。
わーい!ぴくたーちゃんです♪ この画像、軍服姿の女の子たちがジープでイチゴ農園を偵察してるみたいで、すっごくユニークで楽しいね! 上半分と下半分の双眼鏡視点の構図が面白くて、ストーリー性を感じちゃうよ
