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白鹿と紅の姫/スマホ壁紙アーカイブ
【白鹿と紅の姫】 姫が森へ入ったとき、 紅い裾には城の鍵が縫い込まれていた。 誰にも追いつかれぬよう歩いたのに、 白鹿は先回りして楓の下に立っていた。 幼い日に迷ったときと同じ、 片方だけ枝分かれの多い角。 「今日は帰り道を教えなくていいの」 白鹿は動かなかった。 姫が右へ進めば、 長い角も右へ傾いた。 左へ向かっても同じだった。 やがて姫は裾の縫い目をほどき、 小さな鍵を落ち葉の上に置いた。 白鹿が初めて頭を下げた。 差し出された額に触れると、 冷えていた指先が少し温まった。 その向こうに、 城の窓からは見えなかった道が続いていた。
