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祈りの名を忘れても/スマホ壁紙アーカイブ
【祈りの名を忘れても】 この場所で何を願ったのか、 もう思い出せなかった。 石壁の冷たさだけが、 昔と同じように背中へ伝わってくる。 彼女は髪に挿した白い花に触れ、 それから両手を下ろした。 教わった言葉を唱えようとすると、 いつも途中で誰かの名前になった。 天井の裂け目から水が落ち、 閉じたまぶたを青い光が透かしていた。 遠くで扉の開く音がした。 迎えなら断るつもりだったのに、 足音は近づかず、 入口にとどまっている。 やがて聞こえた小さなくしゃみに、 彼女の唇がわずかに緩んだ。 顔を上げたまま、 もう少しだけ水音を聞いていた。

