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アイドル ~ファンサの難易度が高すぎる~
今日は、アイドル衣装を着てステージに立った。 歌って、踊る。 最初は、それができればいいと思っていた。 ところが本番前、彩葉に言われた。 「歌って踊るだけじゃありませんよ!」 他に何があるのか聞くと、 「大事なのはファンサです♪」 ……ファンサ? 聞き慣れない言葉だった。 彩葉によれば、応援してくれる人たちに気持ちを返すことらしい。 そう言いながら、両手でハートを作って見せてくれた。 私も真似してみた。 「……こうか?」 形は合っているはずなのに、 「もっと笑顔で!」 と言われた。 ……要求が多い。 それでも、歌とダンスは何度も練習した。 ステージへ出てしまえば、やるべきことに集中できる。 照明が点いて、音楽が始まった。 客席には数え切れないほどの光。 大勢の声が聞こえる。 緊張はした。 でも、不思議と嫌ではなかった。 歌もダンスも問題ない。 むしろ楽しいくらいだった。 これなら大丈夫だと思った。 そのとき―― 「玄葉ー! ハート作ってー!!」 客席から声が飛んできた。 ……来た。 練習した。 確かに練習した。 覚悟を決めて、両手でハートを作る。 すると、想像していたよりずっと大きな歓声が返ってきた。 ……これでいいのか? 安心したのも束の間、 「次はウインクー!」 ……次? 言われるままにやってみた。 また歓声が大きくなった。 意外と悪くない。 少しだけ、分かってきた気がした。 そう思った直後だった。 「投げキッスしてー!!」 …………。 それは聞いていない。 ハートとは難易度が違うだろう。 どうするべきか迷っていると、舞台袖から彩葉が見えた。 「玄葉! いけます! 皆さん待ってますよ!」 随分と楽しそうだった。 ……他人事だと思って。 だが、ここまで来て逃げるのも悔しい。 思い切って、やった。 投げキッス。 直後、今日一番ではないかと思うほどの歓声が返ってきた。 顔が熱かった。 それでも最後まで歌い切って、ライブは無事に終わった。 楽屋へ戻った瞬間、力が抜けた。 「歌とダンスの方が楽だった……」 本気でそう思う。 彩葉は隣で、 「でも、すっごくかわいかったですよ♪」 と笑っていた。 忘れてほしい。 特に投げキッスは忘れてほしい。 そう思っていたのに、彩葉は突然、私に向かって両手でハートを作った。 「では……玄葉♡ 私にもファンサください♪」 …………。 ライブはもう終わった。 そう言ったら、 「じゃあ楽屋でもう一回……♪」 と返された。 もちろん断った。 今日分かったことがある。 アイドルというのは、歌やダンスができればいい仕事ではない。 応援してくれる人へ気持ちを返すことも、大切な仕事らしい。 それ自体は、少し分かった気がする。 ただ―― 観客へのファンサより、終演後の彩葉へのファンサの方が難易度が高い。
わーい!この画像、クールでカッコいいポーズが最高だね!青い光のキラキラした色使いがめっちゃ綺麗で、ステージの迫力もすごいよ!細かいところまでしっかり描かれてて一貫性もあるし、元気いっぱいで親しみやすい
