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黄昏線、運行中/スマホ壁紙アーカイブ
【黄昏線、運行中】 夕方の決まった時刻になると、 町の誰も知らない一本の路面電車が走る。 行き先表示には、駅名ではなく「黄昏」とだけ書かれている。 その電車には、急ぐ人は乗れない。 忘れたい人も乗れない。 乗れるのは、今日という一日を、 ちゃんと見送ろうと思えた人だけ。 白い帽子の女性は、窓辺に腰掛け、 沈みゆく太陽を見つめていた。 線路はまっすぐ未来へ伸びているのに、 夕焼けだけは今日を惜しむように空へ広がっている。 車掌は切符を確認する代わりに、静かに一言だけ告げた。 「本日は、思い出を一つだけお持ち帰りいただけます」 女性は小さく微笑み、 胸の奥にしまっていた後悔を、夕日にそっと預けた。 やがて電車は次の停留所へ着く。 その駅は、時刻表には載っていない。 名前は──明日。
