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帝国軍衛生週間・予防接種戦線異状あり

「次、ブロント少尉」  保健室に呼ばれた瞬間、周囲の空気が妙にざわついた。  帝国自衛陸軍士官学校――毎年恒例の衛生週間。  本日は予防接種日である。  本来ならば、淡々と注射を受けて終わるだけの行事。  ……のはずだった。 「ふっ!」  勢いよく診察椅子へ腰掛けたブロント少尉が、黒い軍服の袖を肩まで捲り上げる。  金髪ポニーテールが揺れた。 「種痘の日とは、実に軍人的記念日である!!」  キラーン。  歯が光った。  なぜ光ったのかは誰にも分からない。 「ええと……では肩を失礼します」  軍医が若干引き気味にアルコール綿を当てる。  しかしその瞬間。  ブロント少尉の肩と腕が、ぴしり、と硬質化した。  細い。  むしろ女性としても華奢な部類だ。  だが、鍛え抜かれた筋肉が、無駄なく異様に締まり切っている。 「少尉、力抜いてください……」  看護師が困惑気味に言う。 「安心しろ! 私は完全に脱力している!!」 「してません」  即答だった。  軍医が恐る恐る針を当てる。  ぐに。 「…………」  針が曲がった。 「え?」  軍医が固まった。  後ろで見学していた若菜少尉が、吹き出す寸前の顔で口元を押さえる。 「ふふっ……少尉ちゃん、ずーっと力入ってますよぉ?」 「馬鹿者! これは戦闘準備である!」 「注射ですよぉ?」  くすくす笑う若菜少尉の横で、富士見軍曹は腕を組んだまま溜息を吐いた。 「だから言ったでしょう」 「む?」 「少尉は緊張すると、無意識に打撃受けの筋肉操作をします」 「えっ」  軍医が振り返く。 「しかも本人に自覚がありません」 「えぇ……」  看護師が本気で引いた。  ブロント少尉は得意げに胸を張った。 「ふっ。帝国軍人たるもの、常在戦場である!」 「保健室です」 「敵襲に備えるのは当然だ!」 「敵いません」  富士見軍曹が即座に切り捨てた。  軍医は額の汗を拭う。 「す、少尉……ほんの少しでいいので、肩の力を……」 「任せろ!」  ブロント少尉が真顔になる。  すう、と息を吸った。  保健室全員が見守る。  数秒後。  ぶるぶるぶる……!  肩の筋肉がさらに硬化した。 「なんでですか!?」 「集中した結果である!」 「逆です!!」  若菜少尉がついに耐えきれず笑い出す。 「も、もうやだこの人〜♪」  富士見軍曹は深く深く溜息を吐いた。 「……少尉」 「なんだ」 「力を抜けないなら、気絶させます」 「なにっ」 「その方が早い」 「待て! 私は注射を恐れているわけでは――」  次の瞬間。  富士見軍曹の手刀が、少尉の首筋へ吸い込まれた。  すぱぁん。 「あべしっ」  数分後。  完全脱力したブロント少尉へ、無事に予防接種は完了した。  なお。  目を覚ました少尉は、 「奇襲とは卑怯なり……」  と最後まで納得していなかったという。

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偵察攻撃部隊ブラックピース

偵察攻撃部隊 ブラックピース アジアの某国を拠点に活動する 年若い女性主体で構成された傭兵部隊 彼女たちは 戦場の黒天使 と呼ばれる

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