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護衛ハートと寸止め制裁

武道場。要人警護訓練のための特別カリキュラムが始まった。 ブロント少尉は、黒の詰襟軍服にミニのプリーツスカート。その上に、白のエプロン、カチューシャ、カフスという即席メイド装備。 しかも姿勢は武道の半身構え、左脇下に手でハートを作っている。 (でぷ……尊い……) 福井候補生は、すでに瀕死の表情で感涙にむせんでいた。 彼が士官学校を目指すきっかけとなった、学園祭での“コンバットメイド敬礼”。 その憧れの姿が、今ここに現実となって再び――! 「福井候補生、今回は銃器使用不可の接近戦を想定した護衛術だ。本気で襲ってこい。ここだ――」 ブロント少尉は左脇で手でハートを作りながら、相手に急所を指し示す。 「……心臓を、狙え」 「りょっ、了解でぷぅぅぅ!!」 福井は鼻血寸前で飛び出す――が、テンションが上がりすぎて足がもつれた。 「ぶひゃあああっ!!」 ズテーンッ! 床に転がる候補生。 「貴様ッ! その程度で要人を襲う暴漢が務まるかッ!」 説教モードに入るブロント少尉。 「いいか、護衛とは――敵を見抜き、急所を制し、威厳を示すものだ。このハートは、私の覚悟、心臓、そして――」 ――スパンッ! 突如、横から寸止めの鋭い回し蹴りが、少尉のハートの真下、脇腹に寸止めヒット。 「ひゃあッ!? まっ、まさか私のハート(心臓)を……貫くとは……ッ!」 ビクンと身体を震わせる少尉。驚愕と羞恥で頬が赤い。 蹴ったのは、黒髪ボブの富士見軍曹。空手着姿で黒帯、完璧なフォームで静かに立っている。 「……そのポーズ、意味ないからやめなさい」 ジト目でつぶやく。 「こっ、これは威圧と警告を……教育的示威行動であって――」 「それ以前に、そもそもなんでメイド服なんですか。護衛訓練で」 冷静なツッコミが放たれる。 だが、ブロント少尉は涼しい顔で返した。 「富士見軍曹。常に要人の側に付き添い、不自然でなく、戦闘時も即応可能な存在――それは?」 「……優秀な護衛、ですよね。メイドとか、侍女とか」 「そうだ。自然に近くにいられることこそが護衛の本質。見た目で判断するのは素人。これは戦術服だ」 「(ぐぬぬ……正論ぽいけど、やっぱり変)」 富士見軍曹は何も言わず、深いため息をついた。 一方、福井候補生は、床に転がったまま両手でハートを作っていた。 「さすが少尉でぷ……その戦術性、そのロジック……ハートを撃ち抜かれたでぷ……。この程度じゃへこたれないでぷ……!」

さかいきしお

コメント (24)

恥ずかしがっている顔も良いですね

2025/06/23 13:29
2025/06/23 09:37
2025/06/22 13:56
2025/06/22 12:43
2025/06/22 12:26
2025/06/22 11:53

ハート様は出てこなかったですわね!

2025/06/22 11:31

心臓を狙うのだぁー!

2025/06/22 06:38

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