描き疲れて、青春。/スマホ壁紙アーカイブ
【描き疲れて、青春。】 午後3時のアトリエは、静かすぎて自分の心臓の音すら聞こえる気がした。 キャンバスの前で、彼はもう何度目かわからないため息をつく。 アイデアは乾いて、絵の具だけが湿っている。 だけど、手は止まらない。止めたくない。 なぜって、誰に見せるでもなく、この色、この形の先にしか行けない場所があると信じているから。 机の下ではペットボトルの水がぬるくなり、 ラジオの音はもう雑音にしか聞こえない。 それでも、こんなに疲れて、眠くて、目がかすんでいるのに、 「もう少しだけ」って思えるのは青春の力だろう。 夢の途中で、筆を置いて寝落ちしてもいい。 それさえも、この一瞬の、証になる。 ──────── ★Xに別カットあります