世界が橙色に染まるとき/スマホ壁紙アーカイブ
【世界が橙色に染まるとき】 あの日、彼女は夕陽の中に立っていた。 風に揺れるドレスの裾は、まるで光そのものを纏っているようだった。 僕は、ただ見つめることしかできなかった。 言葉は浮かばず、想いも届かず、けれど目を逸らすことなどできなかった。 彼女のドレスは、沈みゆく太陽の色。 鮮やかであたたかくて、そしてどこか胸を締めつけるほど切ない。 それが彼女の最後の姿だった。 ほんの一瞬の魔法──夕暮れという名の魔法。 その中で彼女は微笑み、世界ごと包み込んで静かに消えていった。 今でも夕陽を見るたびに思い出す。 あの時、あの光の中に立っていた彼女を。 何度も、何度でも、心の中で映し直す。 もう戻らないと知っている。 それでも橙に染まる空を見ると、 あの魔法が──彼女を連れて帰ってくれる気がしてならない。 ──────── ★Xに別カットあります