1 / 3
【R-18】森の中でたくし上げ
「はぁ・・・」 キャンプ場近くのひと気のない森の中、私は自分の胸を見下ろしながらため息をついた。そもそもは汗を拭くために人目を避けてここに来たのだけど、ふと自分の胸のサイズが気になってしまった。 「私の成長が遅いのかしら・・・」 実に慎ましいサイズ。いつも一緒にいる弥美が規格外に大きいせいで、並ぶと余計みじめだ。普段は気にしないようにしてるけど、今日みたいに薄着でボディラインが出る服を着るとやっぱり意識してしまう、格差。 「弥美は食べれば食べただけどんどん大きくなるのに・・・私はお肉いっぱい食べてるのに中々こっちは成長しないなんて、不公平すぎる」 早渚の知り合いの女性に、バストアップに詳しい人とかいないか聞いてみようか。でも流石に恥ずかしい。そんな事を思っていたら。 「うわ!?」 「えっ!?」 男の声。すぐ近くの木立の方から聞こえた。私は慌てて服を整えて、そっちに声を掛ける。 「誰かいるの!?」 「・・・」 返事はないけど、息を殺してる気配はある。私は意を決して、木立の向こうが見える場所まで走った。 「あ」 クラスメイトの鮫島だった。虫かごを首から下げていて、中には甲虫みたいなのが入っている。虫取りに来てたらしい。 「あ、あはは。と、橙臣。奇遇だな」 「・・・見たのね」 私が全身から殺気を立ち上らせたのを敏感に察知したのだろう、鮫島は迷いなく逃げ出した。 「さ~め~じ~ま~!!!」 「ま、待て!待てって橙臣!うお!」 逃げていた鮫島が木の根につまづいて転んだ。私は手ごろな石を拾い上げ、あいつの頭の傍に膝をつく。 「今からアンタの記憶を消すわ。どっちで殴ってほしい?」 「ちょ、おい!岩は洒落にならねぇって!ご、ごめん!マジごめん!せめてもっと小さい石に」 「小さい?」 「胸の話じゃねぇって!つ、つーか俺お前のちっちゃい胸好きだから!むしろご褒美」 「〇ね」 鈍い音が森の中に響き、小鳥たちが一斉に飛び立った。 ちなみにGW明け、朝のHRで先生は 「えー、鮫島君はGW中に事故でケガを負ってお休みです。森の中で転んで頭を打ったそうなので、皆さんも足場の悪いところを歩くときなどは注意しましょう」 と言っていた。後で家に突撃して、本当に忘れてるか確かめないと。あと一応、お見舞いの品も持ってくか。