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【ニット帽】ヒマリとヴァニラのお出かけ
この日私は、ヴァニラを連れて洋服屋に行っていた。まあ理由は言わなくても分かると思うけれど、ヴァニラの格好はあまりにもエロ・・・じゃなくて、寒々しい。夏はいいんだけど、冬は絶対見たくない。ヴァニラは魔物だから寒暖差には強いみたいだけど、一緒にいる私はたまったものじゃない。 しかしまあ、ヴァニラときたらやっぱり露出の少ない服は嫌いみたいだ。色々と見せてみたけど、嫌そうに首を振ってばっかり。でも手袋やニーソックス、ニット帽とかは嫌がらなかったので、とりあえず私とお揃いの赤いニット帽を買ってあげた。 「♪」 ヴァニラは気に入ったのか、嬉しそうにぴょんぴょんしながら歩いている。今日は雪道だから、あんまりはしゃいで転ばないように見ててあげないといけない。この感じ、何か覚えがあると思ったら前世の妹・瑞葵を思い出すんだ。瑞葵とヴァニラは顔立ちも胸の大きさも全然違うけど、私が面倒を見るポジションにいるせいなんだろう。 「ほらヴァニラ、あんまりはしゃぐと足滑らせるよ。・・・って言ったそばから!」 ずるっと足を滑らせたヴァニラを慌てて抱きとめる。むにむにの胸の感触が手の平に伝わってきた。ってか、おっぱい冷たいな! 「ああもう、やっぱりこんな格好じゃ冷えるんじゃないの。絶対体に良くないってのに」 私は両手でヴァニラの胸を揉みしだいて、ちょっとでも冷えた肌を温める努力をしてみた。揉んでいるうちに、少し固めだった胸の感触がしっとりと柔らかくなってきて、ヴァニラも嬉しそうにしている。・・・あれ待って、これ単純に胸揉まれて気持ち良くなってるだけじゃない!?しかも傍目から見たら私たちかなり危ないかも知れない! 「は、はいおしまい!ほら、これあげるから飲みなさい」 私はヴァニラの胸を揉むのはやめにして、魔法の鞄に入れておいたホットコーヒーを取り出してヴァニラに渡した。魔法の鞄に入っていたので保温され、こぼれてもいない。地球には無かった便利技術っていいものだ。ヴァニラは温かいコーヒーを嬉しそうに飲んでいる。どうやら苦いものは平気みたいだ。 「今日は冷えるから、それ飲み終わったら早く寮に帰ろうね」 私もコーヒーに口を付ける。まだまだ熱々だ。ちょっと飲むのには時間かかるかも。そう思っていたが、ヴァニラは私の言葉を『早く飲んで』みたいな意味に取ったのか、一息に全部飲み干してしまった。でも火傷をした様子もない。・・・やっぱり、人間よりもずっと高温や低温に強いんだなあ。 「♪」 ヴァニラは先に立って、寮への帰り道を歩き出す。私は遅れないように、その後をコーヒーを飲みながらついていった。 「・・・こっちでも結局、手のかかる妹が出来る運命なのね」 でも私は、こういう関係が嫌いじゃない。やっぱり、私は本質的に『姉』なのかもしれない。