241211
かわいそうウィーク…とりあえずもう1本。とんでも異世界編 EP4.5で! ~~~~~~~~~~~~~~~~ 「こいつらがあの壁から出ていた『メス』って呼ばれてる生物だ。まぁ、一種の家畜みてぇなもんだな。基本、排泄物から栄養を摂るんだ。それだけじゃなくて、たまにはゴブリンなんかをそのまま食ったりするぞ。火を通さなくても平気で食うからな。手間もかからねぇし、基本的に勝手に生きてくれるんだよ」 「排泄物……?」 頭がぐるぐると混乱する。まるで常識を次々と壊されていくような感覚だった。だが、牧場主の話はさらに続いた。 「それにな、淫紋ってやつの影響で、常に発情期だ。だから水分もどんどん失っちまう。これはグルーミングと水分補給をするために『メス』たちで舐め合ってるわけだ」 「……」 言葉を失うというのはこういうことを言うんだろう。私は目の前の光景から視線をそらし、頭を抱えたくなった。これは正気の沙汰じゃない。 ――本当に異世界に来てしまったんだ。 それを思い知らされるのに十分すぎる状況だった。けれど、どうしても気になったことがある。この状況に、牧場主は何も感じないのか? 私の問いに、牧場主は困ったように眉をひそめた。そして、ゆっくりと首を振る。 「旦那、それ本気で言ってんのか?こいつらを人間だと思ってるのかよ?」 牧場主はため息混じりに、目の前の「メス」を指差した。 「いいか、よく見てみな。こいつらに理性はねぇ。ただの本能で動いてるだけの生物だ。俺たち人間とは違う。そもそも人間なら排泄物から栄養なんて摂れねぇだろうが」 指摘されて、もう一度「メス」たちの目を覗き込んだ。その瞳には、狂気じみた光が宿っていた。そこには何もない。理性も、感情も。まるで空虚だ。 「これが……この世界の当たり前なのか?」 何か言葉を返そうとしたが、結局、喉の奥で消えていった。ただ、目の前の異様な光景だけが、強烈に焼き付いて離れなかった。