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便乗かわいそうウィークと言えば…とんでも異世界編 EP4でしょうかね ~~~~~~~~~~~~~~~~ 物語の主人公であれば、あの場で彼女を買い取ることもできたのだろう。 だが、現実の一般ピーポーである自分にはそんな甲斐性はなかった。 私ができたのは、牧場送りにするときに安く譲ってくれと頼むことと、その「牧場」とやらがどんな場所なのか見に行くことくらいだった。 牧場に着いた私を待ち受けていたのは、思わず言葉を失うような悲惨な光景だった。 エロ本の中で描かれるような行為を現実で行うと、ここまで酷い状況になるのか――そんな現実を目の当たりにすることになった。 壁には無数のメスたちが拘束されていた。その体は泥と汚れで覆われ、所々に傷跡が残っている。足元には、何か意味深な液体が染み出していた。 牧場主に事情を聞こうと、彼にチップを手渡す。こういった場所では、それが話を引き出す一番の手段だ。 彼の話では、ここに送られてきたメスたちは男性に使われ、子を産むことだけが役割だという。妊娠しない期間が数か月続けば殺処分されるのだとか。 もっとも、質の低いメスは処分されることすらなく、劣悪な環境下で自然に死んでしまうことが多いらしいが…。 魔法が使えないメスは、この世界のリソースを無駄に消耗するだけの不要な存在。 だからこそ、少しでも役立てるようにこうしているのだと牧場主は語った。 それでも、話の内容はどれも似たようなテンプレートで、まるで洗脳されたかのように、誰に聞いても同じ言葉を繰り返している異様さが漂っていた。 さらに、牧場主はこんなことも言った。 「長生きするメスは、どんなに傷ついても自然に治癒するし、どれほど劣悪な環境に置かれても病気にはならないんだよ」 それを聞いた私は思わず口をついて出た。 「それって、魔法みたいなものじゃないのか?」 しかし彼は首を振る。これがこの世界では「普通」なのだそうだ。 メスたちにとっては、いわば「当たり前のスキル」だという。前世でいえば、料理や掃除といった家事スキルのようなものだと言うのだ。