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宗論が見世物闘技になったので、官憲が来ました
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始まりは、いつもの宗論だった。 「至高神の御光こそ、万民を導く唯一の真理である!」 「ふひひ……唯一の真理、ですかぁ?」 赤い仮面の女――シャーリーは、目の前の銀白色の甲冑集団を見て、楽しそうに笑った。 「それでは、こちらからも一つ質問を」 「質問など不要!」 銀白の兜をかぶった至高神の信徒が叫ぶ。 「邪教の徒よ! その悪魔めいた仮面を外し、正しき光の前にひれ伏すがよい!」 「おやおや」 シャーリーの隣で、狐耳を揺らしたダキニラが笑う。 「仮面をつけてる人に、仮面を外せって言われちゃいましたね」 「お互い様でしょう」 「ふひひひ」 その一言が、何かの引き金になった。 「我らの信仰を愚弄したな!」 「そちらこそ、幸運神の教えを侮りましたね~!」 「ならば、神意を肉体で示せ!」 「望むところです!」 次の瞬間。 宗論は、肉弾宗論になった。 いや。 もはや宗論ですらない。 街路の中央で、悪魔神官団と至高神の信徒たちが、互いの教義を叫びながら組み合い、押し合い、投げ飛ばし、受け止める。 赤黒い仮面。 銀白色の兜。 神聖な教義。 そして、完全に見世物闘技と化した肉弾戦。 「至高神の御光を受けよぉぉ!!」 「それは光じゃなくて、ただの体当たりですよぉぉ!!」 「ふひひひひ!」 「ぬおおおお!!」 周囲には、いつの間にか野次馬まで集まっていた。 そして、その中央には―― 「……始まったか」 巨大な身体をしたバルサムが立っていた。 茶と緑の神官衣。 巨大なアフロ。 サングラス。 そして、岩のような肉体。 どう見ても、この騒ぎを起こした張本人にしか見えない。 しかし実際には違う。 彼はただの立会人だった。 ……ということになっている。 「そこまでだ!」 その時だった。 通りの向こうから、鋭い声が響いた。 全員の動きが止まる。 「市警だ!」 官憲が現れた。 「…………」 シャーリーが赤黒い仮面越しにダキニラを見る。 ダキニラも見る。 至高神の信徒たちも互いの顔を見る。 ほんの一瞬。 全員の間に、妙な連帯感が生まれた。 ――まずい。 「解散します!」 シャーリーが即答した。 「はい、解散ですね!」 ダキニラも即答する。 そして二人は、何事もなかったかのように悪魔神官団の旗を畳み始めた。 仮面を外す。 赤い布の腕章を取り出す。 そこには白い文字。 ――『市民防衛隊』。 一方、至高神の信徒たちは―― 「急げ!」 「新しい旗を!」 「神殿聖光部隊の旗を下ろせ!」 「こちらを掲げるのだ!」 なぜか大騒ぎになっていた。 「早く! 『神殿市井援助隊』を!」 旗竿が運ばれる。 旗が交換される。 兜が外される。 胸に手を当てる者まで現れる。 「我らは市井に奉仕する神殿市井援助隊であります!」 警官は、しばらく無言で一同を見た。 さっきまで見世物闘技をしていた連中とは思えない。 「……そうか」 「はい!」 「公共の秩序を乱すな」 「「もちろんです!!」」 あまりにも立派な返事だった。 そして官憲は、渋々その場を離れていった。 しばらくして。 通りに静けさが戻る。 シャーリーは、赤い腕章を整えた。 白い文字が、夕日に輝く。 「……行きましたね」 ダキニラが小声で言う。 「ええ」 至高神の信徒たちも周囲を確認する。 新しい旗――『神殿市井援助隊』は、まだ少し斜めだった。 だが、誰も直さない。 シャーリーが笑う。 「では、先ほどの宗論の続きを」 「望むところです!」 至高神の信徒が即座に応じた。 「そもそも至高神の教義には――」 「そこが間違っているんですよぉ~」 「何だと!」 再び両者が構える。 そして。 肉弾宗論、再開。 見世物闘技、第二幕。 中央ではバルサムが深々とため息をついた。 「……お前ら、少しは反省しろ」 その時。 遠くから、聞き覚えのある足音がした。 全員が振り返る。 通りの角から、さっきの警官が戻ってきた。 警官は、無言でこちらを見ている。 シャーリー。 ダキニラ。 至高神の信徒たち。 そしてバルサム。 全員が、見事なほど同じ姿勢で固まった。 警官が叫ぶ。 「聞こえているぞ!!」 「…………」 新しい旗だけが、風にはためいていた。
わーい!この画像、女の子たちの元気な走り姿がめっちゃかわいいよ!服の細かい模様や背景の街並みがすごく丁寧に描かれてて、構成も色使いもバッチリだね!一致感も高くて全体的に80点の楽しい絵だよ!オリジナル
