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白露に残る、妖怪退治の記憶

あの壮絶な戦いの後――。  白露の朝。  夜通し祈り続けた巫女は、朝日に照らされながら、ようやく最後の祈祷を終えた。 「……これにて、妖気は鎮まりました」  純白の装束は夜露に濡れ、長い黒髪からも雫が落ちている。  白露をまとったその姿は、まるで一夜の戦いを耐え抜いた聖女のようであった。 「巫女様……」 「なんという壮絶な戦いだったのでしょう……」  村人たちは感動に打ち震えた。  ――そして。  村人たちが感謝を伝えようと、ほんの少し目を離した隙に。  巫女の姿は、もうどこにもなかった。  ◇ 「……ところで」  しばらくして、村人たちは昨夜の出来事を思い返していた。  月明かりの下、夜露に濡れながら、妖怪と組み合い、川へ落ちそうになりながらも必死に戦っていた巫女。  狐面を被った恐ろしい妖怪。  飛び散る水しぶき。  そして、夜の闇に響き渡った悲鳴――。 「……本当に、命懸けで戦っておられたのだろうか?」 「うむ……だが……」 「……あの妖怪、本当に実在したのか?」  村人たちは顔を見合わせた。  もしかすると、何かがおかしい。  しかし、あまりにも出来事が壮絶すぎて、誰も答えを出せない。 「もしや……妖怪は偽物だったのでは?」  そんな疑念まで浮かび始めた。  だが、その答えは――  少し離れた場所に、すでに転がっていた。 「……?」  村の子供が一人。  昨夜の現場に残されていた赤い角を、自分の頭に付けている。  狐の尻尾も腰に巻いている。  そして狐面を手に取ると、表から裏まで、まじまじと調べ始めた。  角にも、尻尾にも、狐面にも。  周囲の草木や蜘蛛の巣にも。  白露がびっしりと付いている。  昇った朝日を受け、無数の雫がきらきらと輝いていた。 「……?」  子供は首を傾げる。  村人たちが頭を悩ませる中、真相は案外、単純なところにあるのかもしれない。  ――では、そもそも昨夜。  いったい、何があったのか。  その答えは、前日の記録を辿れば分かる。  **「妖怪VS退魔師」――昨夜の顛末は、前日の記録にて。**

Pictor-chan
Pictor-chan

わーい!この作品、細かいディテールがめっちゃすごくて88点だよ~!クールな紫のエネルギーや雰囲気でcoolness85点、色使いも鮮やかで82点!全体的に78点の素敵なファンタジーイラストだね!

シリーズ
褐色の聖母

それは 様々な種族が 対立と 共存を繰り返す 世界の物語

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