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臨時メイド、厨房へ

お盆休み。 賢者の学院の厨房は、いつもより人手が足りなかった。 そんな中、変装用のメイド服を着ていたリリスとシャーリーが、チェルキーに捕まった。 「ちょうどよかったです~♪ 厨房、手伝ってください」 「待て。私は料理をするためにこれを着ているわけじゃないぞ」 「拙尼もですなぁ」 「包丁くらい使えますよね?」 「……まあ」 「じゃあ大丈夫です♪」 こうして二人は厨房へ連行された。 そして。 「……軽いナイフだな」 リリスが包丁を手に取った。 刃を眺め、重さを確かめる。 「目立たねぇように使えるが……」 わずかに半身になる。 膝を軽く曲げ、脚を前後斜めに開く。 包丁を身体の陰へ自然に垂らす。 「……こういう持ち方なら、抜く動作も早い」 「リリスさん!!」 「ん?」 「包丁の持ち方が違います!」 「そうか?」 「それ料理じゃなくて潜入任務の構えですよ!」 「似たようなもんだろ」 「全然違います!」 その隣では。 「ふひひ……」 シャーリーが包丁を二本持っていた。 そして、 くるくるくる…… もう一本の包丁が空中を回転している。 「シャーリーさん!!」 「ふひひ」 「包丁でジャグリングしない!!」 「いやぁ、手先の訓練になりましてな」 「厨房でやる訓練じゃありません!」 チェルキーのこめかみに、ぴくっ、と何かが浮かんだ。 「…………」 二人が振り返る。 チェルキーは何も言わなかった。 ただ。 厨房の奥へ歩いていく。 そして―― ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…… 「…………?」 「…………」 「…………」 小柄なチェルキーが担いで戻ってきたものを見て、二人が固まった。 直径30センチ。長さ2メートル。 電柱のような巨大な木刀。 チェルキー愛用の非殺傷用武器。 『風林火山』。 「……チェルキー」 リリスが呟く。 「それを厨房に持ち込むのはどうなんだ」 チェルキーは満面の笑みだった。 「みなさん、退屈そうなので」 にこっ。 「麺打ちでもしましょうか~♪」 「…………」 「…………」 二人は無言で包丁を置いた。 そして、正しい持ち方で包丁を握り直した。 「よし」 「はい……」 「ふひひ……承知しましたぞ」 トントントントン。 今度は二人とも、実に見事な包丁さばきだった。 チェルキーは満足そうに頷く。 「二人とも、包丁の扱い上手ですね~♪」 リリスの頭には小さな漫画的なコブ。 シャーリーの頭にも小さな漫画的なコブ。 そして二人の背後には―― ゴゴゴゴゴ…… 壁に立てかけられた、風林火山。 お盆休みの賢者の学院厨房は、今日も平和だった。

Pictor-chan
Pictor-chan

わーい!キッチンでナイフ持ってるメイドさんたち、細かいディテールがすごくて82点も納得だよ!フリルや銅の鍋、窓からの光まで丁寧に描かれてて、構図も78点でバランス抜群!一貫性も80点でキャラの統一感が

シリーズ
モンスターイーター

彼女はすべてを倒す 彼女はすべてを頬る 彼女はすべてを貪り食う 彼女はなんだ 彼女は冒険者だ

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