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スーパーソニア改五、雪山へ
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藍引島中央山岳地帯。 夏だった。 少なくとも、海岸のヤシの木はそう主張している。 しかし島中央部にそびえる山々は、完全に冬だった。 白銀の斜面。 吹き荒れる雪煙。 切り立った岩壁。 そして、その山中から救難信号が発信されていた。 「遭難者を確認しました」 無線機を片手に、ブロント少尉が眼下を見つめる。 黒い軍服。 黒いミニプリーツ。 ニーハイ。 金髪ポニーテール。 いつもの少尉だった。 ただし今日は、その上に雪山装備を追加している。 足元にはスキー。 背中には大型の救難用バックパック。 腰にはロープと救急用品。 無線機と発煙筒も装着済み。 そして少尉が乗っているのは――。 九九式襲撃機。 いや。 「スーパーソニア改五、接近します」 機内表示には、そう表示されていた。 旧式の陸軍襲撃機を徹底的に改修した、藍引島独自の魔改造機。 強化エンジン。 改良された短距離離着陸性能。 強化された機体構造。 最新式の無線・航法装置。 そして山岳救難用の物資投下装置。 見た目こそ古い。 だが中身は妙に新しい。 そして何より――。 「この機体なら、あの尾根にも入れます」 操縦士が答えた。 「ヘリを出せばいいのでは?」 若菜少尉の声が無線から入る。 「ヘリは維持費が高いので」 「……」 「スーパーソニアは稼働率が高いです」 「そこなんですか?」 「重要な問題です」 少尉は真顔だった。 実際、この機体は妙に丈夫だった。 古い。 燃費も特別良くない。 速度だって最新鋭機には敵わない。 それでも、多少荒れた滑走路でも飛べる。 整備も比較的容易。 そして何より――。 「壊れないんですよね、この子」 「そうなんです」 操縦士が嬉しそうに答えた。 「だから改五にして使い続けてます」 機体が雪煙を突き抜ける。 九九式襲撃機の古めかしい姿が、白銀の山肌すれすれを飛んでいく。 その姿だけ見れば、時代を間違えている。 だが翼下には救難物資。 機内には最新無線機。 そして後部には、山岳救助装備を満載した少尉。 奇妙な組み合わせだった。 「目標地点まで三十秒」 「了解」 少尉は立ち上がる。 背中の大型ザックを確認。 救急用品。 防寒用毛布。 携帯食。 飲料水。 固形燃料。 発煙筒。 ロープ。 必要な物は揃っている。 最後に足元を見る。 スキー。 「……問題ありません」 少尉は頷いた。 操縦士が叫ぶ。 「接近します!」 スーパーソニアがさらに高度を落とした。 プロペラの爆音が雪原を震わせる。 雪煙が渦を巻く。 眼下の岩陰から、遭難者たちがこちらを見上げている。 「救助機だ!」 「地球側の飛行機だ!」 「なんでこんな古そうなのが飛んでるんだ!?」 そんな声が聞こえた気がした。 少尉は気にしない。 「救難物資、投下します」 翼下のコンテナが切り離される。 小型パラシュートが開く。 白い雪原に、次々と物資が降りていく。 毛布。 食料。 水。 医療品。 燃料。 「続いて人員を投入します」 操縦士が叫ぶ。 「少尉、行けます!」 「了解!」 少尉は機外を見る。 眼下には雪。 そして急斜面。 普通なら、とても降りられる場所ではない。 だが――。 少尉はスキーを確認した。 「では、行ってきます」 「少尉!」 若菜少尉が無線で叫ぶ。 「帰りはどうするんです!?」 「……」 ブロント少尉は一瞬だけ考えた。 「スキーで降ります」 「それ帰投じゃなくて下山ですよ!」 「同じです」 「違います!」 操縦士が笑いを堪える。 スーパーソニアは雪煙の中を低空で通過する。 少尉は機外へ。 スキーが雪面に触れる。 ザッ――! 雪が大きく舞い上がった。 少尉の身体が前へ滑る。 「――投入成功!」 無線の向こうで声が上がる。 ブロント少尉は姿勢を安定させると、そのまま斜面を滑走した。 金髪が風になびく。 黒い軍服が雪原を切り裂く。 背中には救難物資。 目の前には遭難者。 そして頭上では、九九式襲撃機改五――スーパーソニアが旋回し、帰投していく。 「……」 少尉は無線を取った。 「こちらブロント。人員投入完了」 『了解。帰投します』 「はい」 『少尉、無事に戻ってくださいよ』 「もちろんです」 少尉は少しだけ笑った。 「私は山岳救助のプロですから」 その直後。 急斜面。 「――おっと」 ズザザザザッ!! 「少尉!?」 「問題ありません!!」 雪煙の中から声が返ってくる。 「予定通りです!!」 『何が!?』 夏の藍引島。 海ではヤシの木が揺れている。 その一方で山では吹雪。 そして雪山を滑走する、黒軍服の女性士官。 頭上には、なぜか現代まで現役で飛び続ける九九式襲撃機。 藍引島では、今日も季節と時代の辻褄が合っていなかった。
わーい!この絵、めっちゃカッコいいねー!雪山をスキーで駆け下りる女の子が元気いっぱいで可愛いし、飛行機やパラシュートのディテールもすっごく細かくてすごーい!色使いも鮮やかでワクワクするよ♪ ちょっと不
偵察攻撃部隊 ブラックピース アジアの某国を拠点に活動する 年若い女性主体で構成された傭兵部隊 彼女たちは 戦場の黒天使 と呼ばれる
