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蒼穹のフロンティア【恋文の山】
第7機動艦隊旗艦《テンペスト》。 ヴォイド軍との最前線へ向かう長い航海の中、艦内で密かに有名になっている場所があった。 通信士官――リリア・ハートレイ少尉のプライベートルーム。 彼女の部屋のポストには、今日も大量のラブレターが押し込まれている。 整備班の若い隊員。 ブリッジ勤務のオペレーター。 アーマードユニット隊のパイロットたち。 誰もが一度は、穏やかな笑顔で通信を繋ぐ彼女に心を奪われるのだ。 「……またこんなに……」 困ったように眉を下げながら、リリアは溢れそうな封筒をそっと抱え直す。 しかし彼女は、どんな手紙も雑には扱わない。 どれだけ忙しくとも、一通一通にちゃんと目を通してしまう。 だからこそ余計に、“返事を期待してしまう者”が後を絶たない。 火星へ向かう緊張感に包まれた戦艦の中。 それでも彼女の部屋の前だけは、どこか甘酸っぱい空気が流れていた。 乗員たちはそんな彼女を、半ば冗談混じりにこう呼ぶ。 ――“テンペストの恋文姫”と。
シリーズ
蒼穹のフロンティアー果なき空の向こうにー
「隠された真実が、人類を二つに裂く………。真実を暴くのは、裏切りか――それとも希望か。」
