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【旅】探索者の旅の果て
【1枚目】 「やった・・・これはきっと、すごいお金になるぞ!」 ダンジョン探索を生業とする探索者の俺は、長い旅の果てに人生初の大当たりを引いたようだ。最深層の隠し部屋、そこにあった宝箱の中身は見た事も無い豪華な剣だった。 「不思議な光を放っている・・・魔法の力が込められているのかもしれないな。とても貴重な剣に違いない」 そう思ったのは、ここに来るまでにたくさんの仕掛けや罠があったというのもある。だが、やはり剣が持つ圧倒的なオーラがそう感じさせたのだ。 「よし、これ以上の収穫はないだろう。早く脱出して、大きな町の鑑定屋に持って行こう」 もちろん、帰り道でも危険な魔物などに注意しなくてはならない。無事に帰るまでが探索なのだ。俺は剣を鞘に納めると、立ち上がって振り向いた。 すると丁度その時、三人組が隠し部屋に入ってきた。 【2枚目】 「えっ」 思わず声を上げた俺を、その三人は値踏みするように見てくる。彼らは男戦士と女魔法使いが一人ずつ、そして真ん中の男は豪華な鎧や盾を装備し、キズ一つない姿だった。 「おい、その剣をこっちに寄越せ」 唐突に、その豪華な身なりの男が言った。ありえない。ダンジョンの宝物は、早い者勝ちと相場が決まっている。 「これは俺が見つけた宝だぞ!横取りするつもりか!?」 「横取りだと?違うな、見て分からないのか」 男は豪華な装備を見せつけるようにポーズを取る。何がしたいのか分からないので、黙って見ていると戦士がじれたように口を開いた。 「この方はな、魔王を倒すための旅を続けている勇者様だ!」 「ゆ、勇者?」 聞いた事はある。すごく強い冒険者で、次々と各地で魔物を倒している男だと。この男がそうなのか。 「このダンジョンにはね、遠い昔に封印された伝説の剣があるって言い伝えを聞いて来たのよ。そう、アンタが持ってるソレね」 魔法使いは俺の持つ剣を指差した。俺が剣に視線を落としていると、勇者が口を開いた。 「伝説の剣は、当時の勇者が魔王を封印するために使っていたものだ。俺が装備しているこの盾や、鎧もそうだ。魔王を封じるため、伝説の装備を集めているところなんだよ」 「そうだ!魔王を倒すためには、その剣が必要なんだ!分かったらさっさと寄越せ!」 「アンタみたいなしょぼいトレジャーハンターが持ってても意味ないのよ。元々、剣は勇者様のものなんだしね。ほら、早く」 矢継ぎ早に三人がかりで言葉をぶつけてくる勇者一行。事情は分かったが、それならせめて代金が欲しい。 「分かった、剣を渡すよ。でも、これを見つけるのには相当の苦労をしたんだ。これを鑑定屋に持ち込んだ時に俺がもらえるはずだった分の金は払って欲しい」 「ほう・・・」 俺の提案に、勇者一行は邪悪な笑みを浮かべ、俺を取り囲んだ。 「勇者一行から金を巻き上げようとは、貴様さては魔王の手先だな?」 「もしや剣をあらかじめ盗むつもりだったのか!?許せん!」 「それが失敗したから、せめて路銀を奪おうと言うのね?誰がその手に乗るもんですか」 違う、そんな事は考えていない。そう言おうと思ったが、あっという間に勇者が距離を詰めて来て俺の腹部に拳を叩き込んだ。俺はたまらずその場に倒れる。 さらに、勇者は追撃として俺の利き腕を踏みつぶした。俺の関節から嫌な音が響く。 「剣は貰っていくぞ。慈悲だ、命までは取らないでやろう」 「勇者様のお慈悲に感謝して、これからは人間に迷惑をかけないように暮らすんだな!」 「勇者様、さすがの優しさですぅ!一生ついて行きます!」 三人は剣を奪うと、痛みに悶える俺にはもう目もくれずダンジョンを後にした。 【3枚目】 それから数か月後。勇者が魔王を倒して封印したという知らせが国中を駆け巡った。魔王封印によって、各地の魔物もこの世から消え去ったらしい。 勇者一行は王城に呼び出され、その功績を称えられ多くの財宝と権力を与えられたという。その手には、あの日俺から奪い取った剣が誇らしげに輝いていたそうだ。 「世界は平和になった・・・もう魔物に怯える人もいなくなるし、町や村が焼かれる事も無い。だけど・・・」 俺は勇者にやられた腕の怪我が原因で探索者を引退し、今は実家に戻り不自由な腕で畑仕事に精を出して暮らしている。生活は、苦しい。 「俺の旅は、なんだったんだろう」
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