蒼穹のフロンティア【蒼光、覚醒――フルオーバードライブ】
Rin
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静寂に包まれた月面。 重力すら希薄なその戦場で、戦況はすでに均衡を失っていた。 ヴォイドの上級士官――グロフィス・ラングレー。 その持つ先読み能力「インサイト」によって、あらゆる挙動は看破される。 アリシアの動き、攻撃の意図、回避の選択。 すべてが“読まれている”。 ヴァルキリアは、確実に追い詰められていた。 「――まだ、終われない……」 その瞬間だった。 ヴァルキリアの中枢、深層に眠る“導きの核”が反応する。 それは単なる出力強化ではない。 パイロットの直感と意志を極限まで拡張し、未来へと導く力。 ――オーバードライブ。 だが、それはまだ未完成だった。 アリシアの中に眠る“覚醒”と共鳴したとき―― 機体全身が、蒼い閃光に包まれる。 装甲の隙間を走る光の紋様。 溢れ出すエネルギーは粒子となり、低重力の月面に舞い上がる。 それはまるで、ヴァルキリア自身が未来を“選択”しているかのようだった。 フルオーバードライブ。 その瞬間―― グロフィス・ラングレーの「インサイト」が、初めて“ズレた”。 「……見えない?」 予測できない。 否、予測する前に結果が成立している。 アリシアの感覚は戦場そのものと同化し、未来は“読むもの”ではなく、“到達するもの”へと変わる。 「見える……違う――導かれている!」 蒼光を纏ったヴァルキリアが踏み込む。 それは閃光ではない。 ――“必然として収束した一撃”。 グロフィスの先読みすら超越したその動きは、戦局そのものを塗り替えた。 そしてこの瞬間こそが、“グロフィス・ラングレーのインサイトを打ち破った、最初の閃光”である。

