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2024年12月19日 15時03分
対象年齢:R18
スタイル:リアル
デイリー入賞 68
参加お題:

### **【森にプリマで消えた深空の女神】** --- 「おい、そこのエルフ、なんで裸なんだよ」 森の道を歩いていた私は、いつもと違う雲血の若女に相対してはるかにまともなつっこみを殺した。 「あら、気づいてしまいましたか。はじめまして、私はリーフォリア。裸のエルフです」 さも常識げに歌うように自己紹介した女性はリーフォリア。ロングヘアと彼女の耳が森の風に描かれ、相手の怖いほど一直線な視線に、一瞬固まった。 「なんで裸で歩くことが気持ちいいと思うんですかね」 「だって…裸は自然ですよ。森も風も私も、皆、まったく同じもの。裸のほうが、私たちが真に自然の一部だと言えるのですよ。恋と一緒だな、何も被ったりしないほうが自然です」 「恋と裸が一緒なもんか」 気の気の知れない思想を広げるリーフォリアに、思わず頭を抱える私。 「でもさ、裸で歩いてると犯罪者と思われるだろ」 「これこそ自然ですよ。森の中で私たちは言わばハイジの生殖です。その壁を超えるものは存在しません」 「おい、完全に想像を度外してるぞ。読者が意味がわかんなくなるだろ。笑、出ないぞ」 「あなた、見た目はまだいい方ですよ。私が一度体験してみましょうか」 リーフォリアの雰囲気に同化されてきた私は、思わずジャケットを折り始める。バカなことに人は引きずらいのだ。 「あの…一緒に暮らそう」 思わず口をついて出たその言葉に、森の風が一瞬止まった気がした。葉のざわめきが、私たちの間の沈黙を埋めている。 リーフォリアは、ちらりとこちらを見た。目を細め、口元には笑みのようなものが浮かんでいる。 そして――。 「……はぁ?」 「いや、だって。お前の言う自然ってやつ、ちょっと試してみたいし。森の中ならさ、なんか自由で、こう……なぁ?」 必死に自分の言葉を正当化しようとするが、言えば言うほど自分が恥ずかしくなってくる。 リーフォリアは腕を組んで、深く頷いた。 「なるほど、つまりあなたも自然に還りたいと。わかりました、一緒に暮らしてもいいですよ。」 「マジかよ!? お前、意外と優しいな!」 「ただし。」 「……ただし?」 リーフォリアは目を輝かせ、突然満面の笑みを浮かべる。 「あなたも毎日、裸で過ごしてくださいね!」 「――はっ?」 森の中に静寂が広がる。小鳥の声だけが聞こえてくる中で、私は硬直した。 「冗談、顔だけにしろよ! なんで俺まで裸で生活しなきゃいけねぇんだ!」 「恋と一緒だな。お互い、すべてをさらけ出さないと意味がないんですよ。」 「だから恋じゃねぇって! お前、頭に葉っぱでも詰まってんのか!?」 私は叫ぶが、リーフォリアはにっこりと微笑んで、木の枝に飛び乗るように軽やかに立ち去ろうとする。 「それじゃ、自然への第一歩として、今日は服を脱いでここで瞑想しましょう!」 「やめろ! 森を通るハイキング客に通報されるわ!」 「大丈夫ですよ。通報されても、私が言っておきます。『この人、私と恋に落ちて自然に還ろうとしてるだけです』って。」 「やめてくれぇぇぇ!!」 リーフォリアは無邪気な笑顔を浮かべ、私は必死で自分の服を握りしめる。こんな天然エルフと暮らすなんて、未来が思いやられる。 だが、不思議なことに、森の中に吹く風が少し心地よく感じた。 森の木々は静かに立ち並び、無数の葉が朝の光を細かく砕いていた。風は枝々を揺らし、穏やかなさざ波を奏でる。 高い天蓋の向こうには、どこまでも澄んだ青空が広がり、その先に何があるのか、知る者はいない。 リーフォリアの姿は、裸のまま、まるで森と一体となるように消えていく。彼女の髪は草のように揺れ、笑い声が遠くでこだまする。 自然とは無作為で、無邪気で、そしてどこまでも自由だ。 風に導かれ、森の中で今日も誰かが立ち止まり、こうつぶやく。 「まさか、あのエルフ……裸で散歩してるのか?」 木々は何も語らず、ただ大きな葉を揺らして、彼らの問いに答える代わりに風を送る。 そして森は、今日も変わらず、自然そのものの姿を私たちに見せ続けるのである――。

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